第4章 爆殺神は彼女を拾う 【ヒロアカ 爆豪勝己】
身元の特定ができないいのりは、一時的に公的な保護施設へ預けられることになった。
爆豪は「俺が近くで見張ってやる」と豪語したが、ジーニストに「まずは法的な手続きが先だ」と諭され、後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。
だが、地獄は形を変えていのりを追いかける。
施設の一室。
与えられた清潔な服に着替えても、いのりの身体からは隠しきれない毒のような色気が漂っていた。
直哉によって強制的に「女」にされ、徹底的に開発し尽くされた肢体。
その痛々しい美貌は、皮肉にも男たちの劣情を煽る装置となっていた。
「……君、大変だったね。夜、眠れないなら相談に乗るよ?」
消灯後の暗い廊下。
声をかけてきたのは、親身なふりをして近づいてきた施設の男性職員だった。
「いえ、大丈夫です……離してください」
怯えるいのりの肩を、男の手がねっとりと撫でる。
その感触が、直哉の冷たい指先と重なった。
「いいじゃないか。酷い目に遭ったんだろ?優しくしてほしいだろ? 君のその体……誘ってるようにしか見えないよ」
「……っ、やめて……お願い、やめてっ!」
抗ういのりを、男は力ずくで壁に押し付けた。
スカートの中に手が入り込み、生々しい熱が肌を這う。
まただ。
世界が変わっても、結局は誰かの慰み者になるしかないのか。
「あ、ぁ……っ、た、す……けて……」
絶望に瞳を閉じた、その時だった。
ドォォォォンッ!!
鼓膜を突き破るような爆音と共に、部屋のドアが文字通り吹き飛んだ。
「あァ……? 何してやがる、クソゴミが」
逆光の中、爆破の煙を撒き散らしながら立っていたのは、刺すような金髪を逆立てた、怒り狂う青年だった。
「爆豪、くん……?」
「勝手に侵入した甲斐があったぜ。おい、その汚ねぇ手をどけろ。……死なねぇ程度に、完膚なきまでに爆破してやる」
爆豪の瞳に宿る、本物のヒーローの「殺意」
いのりは腰を抜かして震える男の背後で、ただその眩しさに、涙を流すことしかできなかった。
ガタガタと震えるいのりの元へ歩み寄ると、爆豪は己のヒーローコートを乱暴に、けれど慈しむように彼女の肩にかけた。
彼が纏うコートは大きく、いのりの華奢な身体をすっぽりと包み込む。
「……ったく、一瞬でも目を離すとこれだ」