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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第4章 爆殺神は彼女を拾う  【ヒロアカ 爆豪勝己】


「ジーパンッ。緊急事態だ、被害者一名、至急病院の手配をしろ!」

通信機に向かって吠える爆豪の胸板に顔を埋め、いのりは初めて、縄の痛みよりも先に「安堵」という感情を覚えた。
夜の街を、金髪の少年が駆ける。
背後で縛られたままのいのりの手首が、爆豪の腕の中で微かに揺れる。
直哉という呪縛から切り離された彼女の、それが新しい、けれどあまりにも痛々しい「生」の始まりだった。



清潔なシーツの匂いと、規則的な心拍音。
病院のベッドで目覚めたいのりの前にいたのは、眉間に深い皺を寄せたあの金髪の少年——爆豪勝己と、もう一人、頭の形が異様に長く、デニムを完璧に着こなした長身の男だった。

「目が覚めたか。気分はどうだ?」

その男、ベストジーニストの問いかけに、いのりは怯えたように身を縮めた。

「……あの、ここは……」
「病院だ。俺が運んでやったんだよ。おい、身体の具合はどうだァ?」

爆豪がぶっきらぼうに尋ねる。
いのりは混乱した。
爆豪の背後にいる看護師の顔が、まるで獣のように毛に覆われていたからだ。

「っ、化け物……?」
「あァ? 誰が化け物だコラ! ……ああ、看護師の個性のことか? 珍しくもねぇだろ」

爆豪が怪訝そうに鼻を鳴らす。
そこへ、警察官だという犬の顔をした男が入ってきた。

「……犬?」
「失礼だな、これでも署長だ。さて、君の身元を調べたんだが、どこのデータベースにもヒットしなくてね。禪院という家系も、君の言っていた地名も存在しないんだ」

いのりは目を見開いた。

「そんなはずはありません! 禪院家は御三家で、呪術界の……っ」
「『ジュジュツカイ』? なんだそりゃ、宗教か何かか?」

爆豪が割り込む。

「おい、お前。ヴィランに監禁されて頭でも打ったんじゃねぇのか。そんな妙な組織、聞いたこともねぇぞ。……それに、お前のその、縛られてた縄にこびりついてた『力』……あれは何だ」
「力……? 呪力のこと、ですか?」
「『個性』だろ、普通。お前の国じゃそう呼ぶのか?」

いのりは息を呑んだ。
会話を重ねるごとに、致命的なズレが浮き彫りになっていく。

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