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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第3章 影を操る彼は彼女を隠したい 【呪術廻戦 伏黒恵】


高専の渡り廊下。
虎杖が死んでから数日が経っても、空気は鉛のように重いままだった。
いのりは、無意識に首元の包帯に触れる。
宿儺に刻まれたあの噛み跡が、今もドクドクと不吉な脈動を刻んでいる気がして。

「……まだ、痛むのか」

不意に隣から声をかけられ、いのりは肩を揺らした。
いつの間にか伏黒が隣に立っていた。

「あ、恵くん。……ううん、痛みはないよ。ただ、なんていうか……自分のものじゃないみたいで」
「あの時、俺がもっと早く動けてれば……。こんな呪い、つけられずに済んだのに」
「恵くんのせいじゃないよ……私が弱いくてとろいから…」
「……二度目はない。次、あいつが指一本でもお前に触れようとしたら……次は俺が、宿儺を殺す」

それは仲間への言葉とは思えないほど、静かな決意だった。
伏黒の瞳には、虎杖を救えなかった後悔と、彼女を守りきれなかった自責が混ざり合っていた。
彼はそっと、いのりの包帯の上から大きな手を重ねる。

「……あの時、俺の目の前で、あいつはお前を喰おうとした」
「恵くん……」
「虎杖が死んで、お前だけでも助かったのは奇跡だと思ってた。でも……これを見るたびに思い知らされる。あいつはお前を自分のものにしようとしるんだって」

伏黒は、彼女の首筋にある「楔」を隠すように、額をそこに押し当てた。
伝わってくる彼女の脈動だけが、今、彼女が生きていることを彼に証明してくれる唯一の救いだった。 

「お前は、俺が守る。宿儺からも、他の呪いからも……お前を脅かす全てのものから」
「…恵くん……」
「これ以上、独りで抱えるな。怖かったなら、怖いと言え。泣きたいなら、俺の前で泣け」

伏黒の手が、彼女の背中を包み込む。

「二度と、あいつにお前を触らせない。お前を傷つける全ての因果を、俺が影の中に沈めてやる。……だから、俺のそばにいろ。離れるな」

それは、守護の誓いというにはあまりに重く、呪いにも似た執着だった。

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