第2章 現代最強は彼女を手放さない 【呪術廻戦 五条悟】
翌朝、医務室に差し込む陽光は明るかったが、そこに流れる空気はひどく重滞していた。
五条は目隠しを外し、ベッドの脇で腕を組んでいた。
その視線の先には、昨夜の直哉の訪問を聞いて、青ざめた顔で俯くいのりの姿があった。
「ねえ、いのり。昨日、直哉が来たのは知ってるよね?」
「……はい、五条先生……」
「あいつ、君のことを『僕の所有物』だって言っていたよ。……ねえ、禪院の家で君は、本当は何をされていたの?」
五条の声は優しかったが、逃げ場を許さない鋭さがあった。
いのりの肩がびくりと跳ねる。
彼女は震える手でシーツを握りしめ、唇を噛み切らんばかりに震わせていた。
「……落ちこぼれだったから。……厳しく、されていただけ、です。本当に、それだけ……」
「嘘だ。君、今あいつの名前を出しただけで、呼吸が乱れてるよ」
「……っ……言いたくない、……お願い、先生……聞かないで……」
いのりはそのまま布団に潜り込み、拒絶するように丸まってしまった。
その背中を見つめる五条の瞳は、怜悧な氷のように冷え切っていた。
これ以上彼女を追い詰めるのは逆効果だと判断した彼は、静かに部屋を後にした。