第2章 現代最強は彼女を手放さない 【呪術廻戦 五条悟】
直哉の足音が遠のいた後、五条は一人、ベッドの脇に立ち尽くしていた。
今のやり取りの中に混じった、言葉にできない違和感。
「……『僕に鳴かされてるのがお似合い』、か」
五条の脳裏に、直哉の言葉がリフレッシュされる。
単なる傲慢な発言にしては、その響きには粘りつくような優越感と、歪んだ支配欲が混じっていた。
そして、いのりが時折見せる、男性の強い視線や接触に対する、あの過剰なまでの強張りと怯え。
(ただの落ちこぼれ扱いされていただけじゃない……?)
五条は、眠るいのりの細い手首にそっと触れた。
そこには、かつて誰かに強く縛り付けられたような、心の深い傷跡が隠されている気がしてならなかった。
「……ねえ、いのり。君が隠していること、全部僕に教えてくれる日は来るのかな」
五条は彼女の頬を指の背でなぞった。
もし自分の想像が正しければ。
もしあの直哉という男が、自分の愛しい教え子に指一本でも、彼女の尊厳を汚すような真似をしていたのだとしたら。
「……その時は、禪院家ごと消しちゃってもいいよね?」
眠る彼女に返事はなかったが、五条の蒼い瞳には、直哉への冷徹な殺意と、それ以上に深い、彼女へのドロリとした独占欲が渦巻いていたのだった。