第2章 現代最強は彼女を手放さない 【呪術廻戦 五条悟】
「おい、悟。いい加減にしろよ。お前、明らかにいのりだけ贔屓しすぎだろ」
真希の容赦ないツッコミに対し、五条は心外そうに首を傾げた。
「何言ってるの真希。いのりは伸び代があるから、僕が手塩にかけて育てている最中で、これは正当な『教育的投資』だよ」
「投資ってレベルかよ。いのりの部屋、お前が買ってきたぬいぐるみや服で溢れかえってるって話だったぞ。嫁にでも取るつもりだったのか?」
「それも悪くないね! 『五条 いのり』かぁ、響きがいいじゃないか」
「……っ、先生! 変なこと言わないでください!」
顔を真っ赤にして慌てるいのりを見て、パンダがため息をついた。
「悟、お前なぁ……。いのりが可愛いのは分かるが、周りの生徒の嫉妬も考えろよ」
「わかったわかった。じゃあ、今度みんなで焼肉行こうか。僕の奢りで。……あ、でもいのりは僕の隣ね!いい肉は全部いのりのお皿に入れてあげるからね!」
「それを贔屓だって言ってんだよ!!」
真希の怒声が響く中、五条はケラケラと笑いながら、いのりの頭をこれ見よがしに撫で回した。
「いいじゃん、別に。いのりはさ、今まで『自分は価値がない』なんて思わされてきたわけだったし。僕がこれでもかってくらい甘やかして、世界一幸せだって自覚させてあげないと気が済まないんだよ」
不意に真面目なトーンで言われ、いのりは俯いてしまった。
五条の手のひらの温かさが、直哉につけられた心の傷を、少しずつ、けれど確実に埋めていくのを感じていた。
「……先生。私、食べ物で釣られなくても、頑張りますから」
「知ってるよ。でも、僕が釣りたいの。僕にしか懐かないようにね」
五条が目隠しを少しずらして、綺麗な青い瞳で悪戯っぽくウィンクした。
その瞬間、いのりの心臓は、訓練の疲れとは別の理由で、これまでにないほど激しく跳ね上がったのだった。