禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】
「ひゃっ……!?」
「お、おいリボーン! いきなり何してんだよ!」
ディーノが慌てて声を上げるが、リボーンと呼ばれた赤ん坊はどこ吹く風で、黒い帽子の庇を指でクイと上げた。
「ただの挨拶だ。それよりディーノ、面白い女を連れてるじゃねーか」
「あ、ああ……俺の大事な客人だって言っただろ」
肩に乗ったリボーンの重みは意外なほどしっかりしていた。いのりは鼓動を速めながらも、どうしても気になっていたことを、彼だけに聞こえるような小さな声で囁いた。
「……その、おしゃぶり。あなた、呪われているの……?」
リボーンの目が、一瞬で鋭く細まった。
その場の空気が凍りついたような錯覚に陥る。
彼は「秘密だ」と短く口にしたが、その瞳には明らかに、単なる好奇心以上の光が宿っていた。
「お前、何が見えてる?」
「え……? 私は、ただ……」
「……まあいい。今は流してやる。だが、お前には興味が湧いたぞ、いのり」
リボーンは不敵な笑みを浮かべると、そのまま彼女の肩からツナの頭へと飛び移った。
「な、何なんだよ今の……。リボーンが初対面の奴に自分から近づくなんて、珍しいな」
ディーノが不思議そうに首を傾げ、ロマーリオも訝しげに眼鏡を押し上げる。
いのりは、自分の指先が微かに震えているのに気づいた。
この世界には呪いも呪術もないと思い始めていた。
けれど、目の前の小さな家庭教師が抱える「呪い」は本物だ。
そして彼は、自分に「何か」が見えていることを瞬時に見抜いた。
「……ディーノさん。あの、リボーンさんは……」
「ん? ああ、彼は世界最強の赤ん坊家庭教師だ。まあ、色々規格外な奴だけど、悪い奴じゃないぜ」
ディーノは安心させるように笑って彼女の背中に手を添えた。
自分がいた呪術界の常識が通用しないこの場所で、唯一「呪い」の匂いをさせた赤ん坊。
いのりは、この穏やかな日本滞在が、ただの里帰りでは済まない予感に胸を騒がせていた。