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*夢物語* 【夢小説短編集】

第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】


グイッと腕を引かれ、侑はまたしても彼女のペースに巻き込まれる。けれど、カメラを置いて自分を直視しながら笑う彼女の瞳は、レンズ越しよりもずっと鮮やかで、侑の心拍数をバレーの試合中とは違う意味で跳ね上がらせていた。


「……しゃあないな。今日だけは、そのゾンビの設定とやらに付き合ったるわ!」






「うわっ、ちょっ、囲まれた!? 治、後ろや!」

「わかっとるわ! 多すぎやろ、ここのエリア!」

薄暗いストリートの突き当たり、侑たちはいつの間にか数体のゾンビに完全に包囲されていた。
唸り声を上げながらじわじわと距離を詰めてくるゾンビに、全国トップクラスの運動神経を誇る四人も、流石に腰が引けている。

隣にいる🌸はといえば、相変わらずニコニコとゾンビたちの特殊メイクを至近距離で観察していたが、ふと何かに気づいたように顔を上げた。

「……あ、今や」

「……え?」


侑が聞き返す間もなかった。
さっきまであんなに肝が据わっていたはずの🌸が、急に胸の前で手を組み、わざとらしいほど可憐な声を上げたのだ。


「――キャーッ! 怖い! 助けてブルー◯ーズ!!」

「……は?」


侑が素っ頓狂な声を出すのとほぼ同時。


「そこまでだ!」


闇を切り裂くような鋭い声と共に、白い制服に身を包んだ集団が颯爽と現れた。
整った顔立ちに、隙のない立ち振る舞い。
彼らは鮮やかな手つきでゾンビたちを制圧し、侑たちの前に壁を作るようにして立った。


「怪我はないか、諸君。ここはもう安全だ」


キラーン!と効果音が聞こえてきそうな笑顔を残すと、白い制服の男たちは爽やかに去っていく。
その背中を見送りながら、🌸は「はぁ~、かっこええ……」と、頬を赤らめていた。


「……自分、何しとんねん」


侑の冷ややかな声が響く。


「見てよ侑くん! 今年導入された治安部隊『ブ◯ーローズ』、顔面偏差値高すぎひん!? ああ、今の助け方、完璧に物語のヒーローやったわ……」

「……怖がってたの演技なんだ。女って怖っ…」


角名が半眼で指摘すると、🌸はニヤリと笑って、手元のスマホを振ってみせた。


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