第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
侑が手を振ると、遠くから人混みをかき分けて、治、角名、銀島の三人がやってきた。
治は侑の手元にあるチュロスをロックオンしている。
「ツム、それ俺の分か?」
「ちゃうわ! 自分で並べや。今これ🌸に奢るとこなんやから」
「え、侑くんが奢ってくれるん? ラッキー! ……あ、治くんたちもホ◯ナイ一緒に見る? ゾンビめっちゃ出るよ!」
🌸が明るく誘うと、角名が少し嫌そうな顔をして身を引いた。
「……ゾンビ? 俺、そういう騒がしいのパスなんだけど」
「ええやんけ角名! あいつらのダンス、自分も気になるやろ。ほら、サムもチュロス食うたら行くぞ!」
「俺は食いもんがあるならどこへでも行くわ。……で、🌸。今日の『当たり』はどこや?」
「あっちのカートの限定フレーバー! 案内するよ!」
「……なぁ、ほんまにこれ入るん?」
侑が食べ終わったチュロスの紙を握りしめたまま、引きつった顔で巨大な建物を仰ぎ見た。
そこには、おどろおどろしいフォントで期間限定アトラクションの看板が掲げられている。
「当たり前やん! ここは撮影禁止やから、ウチも全力で『体験』に集中できるんよ。ほら、並ぶよ!」
「……俺、お化け屋敷系は専門外なんだけど」
「角名、逃げんな。俺もちょっと……いや、かなり嫌やけど」
角名が本気で踵を返そうとするのを、銀島が必死に引き止める。
🌸はそんな四人を尻目に、愛機のカメラを丁寧にバッグへしまい込み、揚々と列に並んだ。
「大丈夫やって、命までは取られへんから! さ、行くよ!」
建物の中、待機列の薄暗い通路に入った瞬間だった。
ガシャンッ! と激しい音と共に、格子の向こうから血まみれのゾンビが身を乗り出してきた。
「うわあああああ!!」
「……っ!? ビビった……」
銀島が悲鳴を上げ、治が珍しく肩を跳ねさせる。
侑はと言えば、反射的に隣にいた角名の腕を掴んで固まっていた。
「あはは! 凄いやろ? あの特殊メイク、質感が最高なんよ!」
「自分、どの角度から感想言うとんねん! 怖くないんか!」
「全然!あ、次ウチらの番やね」
案内されたのは、数人ずつのグループで進むウォークスルー型。
ちょうどいい人数ということもあり、彼らだけで暗い通路を進むことになった。