第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
侑が呆気に取られていると、🌸はカメラのモニターを彼の方に向けた。
そこには、夕陽を浴びて弾けるような笑顔を見せるキャラクターと、その背景に舞う紙吹雪が、奇跡のようなバランスで収められていた。
「これを見ても、私がただ遊んでるって言える?」
その写真のクオリティは、校内新聞に載った侑の写真よりも、さらに一段階上の熱量を孕んでいた。
侑は言葉に詰まった。
自分に向けられていたレンズが、実はこれほどまでに熱い「情熱」の一部だったのだと、突きつけられた気がした。
「……自分、ほんまに…」
「わかったら放して! あと五分で、次のグリーティングが始まっちゃうの!お出迎えしたいの!!」
「待て! ……俺も行く。自分、それが終わったら今度こそ俺の話聞けよ!」
「えーっ、ついてくるん!? 私、パーク内移動は基本競歩だよ!?」
「望むところや! 誰に向かって言うとんねん!」
結局、侑はそのまま🌸の「戦場」へと連行されることになり、治たちは「……もうジョ◯ズ並ぶか」と、早々に彼らを見捨ててアトラクションへと向かった。
「……はぁ、はぁ……自分、速すぎやろ……っ!」
侑は膝に手をつき、荒い息を吐いた。
バレー部で鍛えた脚力があるはずなのに、🌸の「競歩」は異次元だった。
人混みのわずかな隙間を見つけては、スルリと、しかし猛烈なスピードで縫っていく。
「遅いよ侑くん! ほら、もう始まる!」
彼女が滑り込んだのは、すでに人だかりができて一角。
聞き覚えのある陽気なリズムが響き渡ると、セ◯ミのキャラクターたちが賑やかに現れた。
「……自分、それも撮るんか」
「静かに! 今、スマホで動画回してるから!」
カメラの上に固定したスマホで完璧な画角を維持しながら、🌸はキャラに向かって激しく手を振る。
かと思えば、ダンスパートに入った瞬間、彼女の体がキレッキレに動き出した。
「……え、待て。自分、なんで踊れるん?」
「……通ってれば、覚えるよ!」
完璧な振り付け。
隣で踊り狂う(カメラは片手で固定されている)彼女に、侑はドン引きを通り越して感心すら覚えた。
ダンスタイムが終わり、グリーティングの時間になると、🌸はサッとカメラを構え直し、少し離れた場所でニコニコと「待機」の姿勢に入った。