第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
自分が入る隙間など微塵も感じさせない、職人のようなこだわり。
「……自分は入らんのかい」
侑が思わずツッコむと、撮影を終えた🌸が満足げにキャラクターと力強いハグを交わし、慣れた手つきでハイタッチを決めた。
「じゃあね、また明日!……あ、次はあっちのエリアに推しが来るから、私行くね!」
「待てや、自分!」
次なる獲物(推し)を求めて地を蹴ろうとした🌸の細い腕を、侑が咄嗟に掴んだ。
「えっ? ……侑くん!?今日ユ◯バいたんだ」
🌸は一瞬だけ驚いたように瞬きをしたが、すぐにいつもの、カラッとした明るい笑顔を浮かべた。
「奇遇だね、みんなで遊びに来てたの? 仲良しだなぁ。じゃあ、私は時間ないから! お互い全力で楽しもうね、バイバイ!!」
「バイバイちゃうわ! 全然奇遇ちゃうし、仲良く遊びに来たわけでもないわ!」
スルリと逃げようとする彼女を、侑は逃がさない。
グイッと引き戻すと、彼女が大切そうに抱えているカメラを指差した。
「自分……さっきから何しとんねん。着ぐるみとテレパシーで会話して……。ここ、遊園地やぞ? 遊びに来たんちゃうんか」
「何って……見ての通り、『記録』と『記憶』の更新だよ。あと、着ぐるみじゃなくてキャラクターね。中の人なんていないから」
真顔で訂正する🌸に、背後で見ていた治たちが一歩引いた。
「自分、俺の誘いは『忙しい』って断り続けて、毎日こんなことしとるんか? 治にお裾分けしとるお菓子も、もしかしてここで買うてんのか」
「そうだよ。期間限定のお菓子、ここがいちばん美味しいもん。……あ、侑くん、今『何してるの』って聞いた? 私はね、この世界の『美と思い出の一瞬』を収穫してるの。一秒たりとも同じ表情はないんだから、立ち止まってる暇はないんだよ!」
「……美と思い出の一瞬の収穫?」