第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
「……入った。あいつ、マジで一人で入りよった」
「一人ユ◯バか。強者やな。……よし、目的は分かったし帰るで」
「待てやサム! ここまで来て帰れるか! 入るで!」
「はぁ!? お前、部活の休み潰して男四人で野郎ユニバする気か!?」
銀島が悲鳴に近い声を上げるが、侑の瞳は好奇心でギラギラと輝いている。
「ええやんけ! あいつが何しにここ来てるか突き止めるまで、俺は一歩も動かんぞ! ほら、角名も財布出せ!」
「……最悪。絶対知り合いに会いたくないんだけど」
結局、侑の強引さに押し切られた三人は、当日券の列に並び、チケット代を払ってパーク内へ足を踏み入れた。
「……お、おった! あっこや!」
侑が指さした先、ポップコーンの香りが漂うストリートの片隅。
🌸は、いつもの穏やかな雰囲気とは打って変わって、まるで行軍中の兵士のような鋭い目つきで、リュックからレンズを装着したカメラを取り出していた。
「……何しとるんや、あいつ。アトラクション乗る気配ゼロやん」
「……なぁ、あれ。何語で喋っとるん?」
侑が呆然と呟いた。
目の前では、🌸が人気キャラクターを前に、スマホを上にガッチリ固定し、カメラを構えている。
「あ、今日もお疲れ様! さっきの入場、ターンめっちゃキレてたね!」
キャラクターは喋らない。
けれど、大きく頷いたり、照れるような仕草を見せたり、身振り手振りで必死に応えている。
それに対して🌸は、まるで長年の親友と談笑するかのように、よどみなく言葉を返していた。
「……着ぐるみって、あんなに意思疎通できるもんなん?」
銀島が困惑した声を漏らす。
「……いや、普通は無理やろ。あいつ、テレパシーでも使っとんちゃうか」
治も引き気味にポップコーンを口に運んだ。
「見て。会話成立してるのが一番怖い」
角名がスマホでその光景を動画に収めながら、淡々とツッコむ。
しばらく談笑(?)が続いた後、キャラクターがポーズを決めようとした。
普通ならここで「一緒に撮ろう」となるはずだが、🌸は一歩下がってレンズを覗き込む。
「あ、今日もワンショでお願い。……そう、そこ! その角度! …完璧! 優勝!」