第1章 君を追いかける 相手 :相澤消太
隣でその様子を眺めていたマイクが、わざとらしく「フーッ!」と口笛を吹いた。
「聞いたかよ🌸ちゃん! あの『鉄の理屈屋』が、ここまで恥ずかしいセリフ吐くなんて歴史的瞬間だぜ! ……ほら消太、いつまで🌸ちゃんの腕掴んでんだ。そこはもっと、こう、あるだろ?」
マイクに促されるまでもなく、相澤は🌸の腕を離すと、そのまま彼女の体を自分の胸の中へと引き寄せた。
ヴィランと戦い、バイクを飛ばしてきた彼の体からは、微かに汗と潮風の匂い、そして彼自身の熱い体温がした。
「……帰ろう、🌸。俺たちの家に」
耳元で囁かれた低くて甘い声に、🌸は彼の服をぎゅっと握りしめて、小さく頷いた。
二人が立ち上がると、マイクがニヤニヤしながらわざとらしく相澤の肩に手を置いた。
「おいおい消太、そんなに殺気立つなよ! 🌸ちゃんは今日一日俺が楽しませてやったんだぜ? まだ夜のディナーコースも予約してあるんだ。このまま返してほしけりゃ、それなりの誠意を見せてもらおうかぁ?」
その瞬間、相澤の周囲の空気がピリリと張り詰めた。
彼は🌸の肩を引き寄せ、マイクの手を冷たく払いのける。
「山田、ふざけるのも大概にしろ。……こいつは今日一日、お前に預けていたわけじゃない。俺が馬鹿な真似をして、一時的に離してしまっただけだ」
相澤の瞳には、ヒーローとしての鋭さとはまた違う、一人の男としての剥き出しの独占欲が宿っていた。
「二度と手放すつもりはない。……この先、一生だ。お前の出る幕はない。行くぞ、🌸」
「おーおー、怖い怖い! 幸せになれよ、お二人さん!」
背後で笑うマイクを置き去りにして、相澤は🌸の手を引いて店を出た。