第10章 鬼狩りの受難 【REBORN 雲雀恭弥】
(……速い! それに、人間……なのに、なんて力!)
「ほう……僕の一撃を防ぐなんてね。噛み応えがありそうだ」
少年の口角が、不敵に吊り上がる。
その瞳に宿ったのは、冷徹な殺意を上回る「強者への興味」
🌸は冷や汗を流しながら、必死に刀で追撃をいなした。
「待ってください!あなたと 戦うつもりはないんです! 私、本当に困ってて……!」
「関係ないよ。君が強いなら、僕は君を咬み殺す。それがルールだ」
再び、銀光が躍る。
🌸は半ば泣きそうになりながら、それでも不死川に鍛え抜かれた本能で、致命的な一撃をすべて受け流していく。
戦いたくない。血も見たくない。
けれど、目の前の少年――雲雀恭弥の放つ覇気は、彼女の師匠に勝るとも劣らない「暴風」そのものだった。
「……ああっ、もう! なんでどこに行っても、話の通じない人ばっかりなのーーっ!」
悲鳴に近い叫びと共に、🌸は覚悟を決めて刀を正眼に構えた。
穏やかな並盛の空の下、場違いな金属音と火花が、屋上の静寂を激しく切り裂いていく。
鋼の音が、高架下の静寂を切り裂く。
「……っ、もうっ!……しつこい!」
防御に徹していたが、このままでは埒が明かないと悟った🌸。
師の不死川との死闘に比べれば、この少年の攻撃には「殺意」よりも純粋な「闘争本能」が勝っている。
だが、その一撃一撃が重く、鋭い。
(……一瞬。一瞬だけでいい……!)
🌸は、あえて自分から踏み込んだ。
雲雀のトンファーが最短距離で彼女の側頭部を狙う。
それを、最小限の首の動きで紙一重に回避し、空いた懐へ日輪刀の鞘を支点に、逆の手で柄を爆発的な速度で押し出した。
「風の呼吸、壱ノ型――塵旋風・削ぎ!」
足元から巻き上がる突風が、砂埃を舞い上げ、雲雀の視界を一瞬だけ奪う。
その攪乱に乗じ、🌸は刀身を鋭く一閃させた。
ーーガキィィィィィン!!
「なっ……!」
狙ったのは、雲雀の腕ではない。
彼の手首の「返し」の瞬間だ。テコの原理を応用し、風の勢いを乗せた刀の腹が、銀色のトンファーを根こそぎ弾き飛ばした。
回転しながら空高く舞う二本の鋼鉄。
呆然とする雲雀を置き去りにし、🌸は屋上の縁へと疾走した。