第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
「おい黒尾……それ、わざとか? わざとお前のそのトサカ頭に、そんな可愛いもん乗っけてんのか?」
「……うるせーよ! これは、その……防寒用だ、防寒用!」
「無理があるだろ、その言い訳!」
いじり倒される黒尾を横目に、🌸はなぜか誇らしげに胸を張り、カチューシャの位置を微調整して見せた。
「何言ってるの、みんな。これ、今のパークで一番人気のやつなんだからね。クロ、すっごく似合ってるでしょ?」
「……何で🌸がドヤ顔なんだよ」
研磨が半眼で突っ込むが、彼女の勢いは止まらない。
「みんなも買いなよ。まだショップ開いてるし、お揃いにすれば怖くないよ!」
「おっ、いいっすね! 俺も🌸さんとお揃いの耳……」
リエーフが乗り気でショップへ駆け出そうとした瞬間、山本の剛腕がその襟首をガシッと掴んで引き戻した。
「バカ野郎リエーフ! 場の空気を読め! あれは『二人でつけてるから価値がある』もんなんだよ!」
「えー! だって🌸さんが勧めるから……」
「いいから! お前は俺と一緒に、この『実質ペアルック』な光景を涙ながらに見守るんだよ!」
海も「ふふ、いい思い出になったじゃないか」と、聖母のような微笑みを浮かべて二人を見守っている。
結局、黒尾は最後まで「これはあいつが強引に……」とブツブツ言い訳を続けていたが、カチューシャを外そうとはしなかった。
駅へ向かう道すがら、夜風に吹かれる二人の後ろ姿は、誰が見ても「幸せなカップル」そのもので。
「……なぁ、研磨」
「何、やっくん」
「あいつ、合格発表の前に、もう一番の『ご褒美』手に入れちゃってるよな」
「……ほんとだね。あんなにデレデレなクロ、見てて疲れる」
賑やかにいじり合い、笑い合う帰り道。
カメラバッグを肩にかけ、黒尾と肩を並べて歩く🌸の足取りは、今日一番軽やかだった。
夢の国という魔法の力を借りて、二人の距離は、もはや「幼馴染」という言葉だけでは収まりきらないところまで近づいていた。