第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
パレードが終わった後、合流の連絡を入れようとスマホを取り出すと、研磨からの返信は素っ気ないものだった。
『今、三桁待ちのアトラクションに並んじゃった。まだ時間かかるから、二人で適当にしてて』
「……あいつら、絶対わざとだろ」
「あはは、人気のアトラクションだもんね。じゃあ、私たちも閉園までデートの続き、しちゃう?」
「デート」という単語をさらりと言われ、黒尾の心臓は再び限界を突破した。
そのまま🌸に手を引かれ、甘い香りに誘われてチュロスの列に並ぶ。
一本のチュロスを交互に齧りながら歩くなんて、数時間前の自分には想像もできなかった光景だ。
「あ、クロ、見て! あれ可愛い、お揃いでつけようよ」
「は!? カチューシャ? 俺、これでも受験生の……」
「いいじゃん、今日だけ! ほら、似合うよ」
強引に耳を付けられ、鏡の中に並ぶ自分たちの姿を見て、黒尾はついに観念した。
「……ったく。……これ、研磨たちに見つかったら一生言われるわ」
「いいよ、私が守ってあげる」
そんな冗談を言い合いながら、夜のパークを歩く。
空に大きな花火が上がった時、二人は自然と足を止めた。
暗い空を彩る大輪の華。
その光に照らされた🌸の横顔を見て、黒尾は確信した。
どんな「夢」の景色よりも、自分にとっては隣にいるこの日常の延長線上にいる彼女こそが、一番特別で、守りたい光なのだと。
「……🌸」
「ん?」
「合格発表……絶対、いい報告するから。待ってろよ」
花火の音にかき消されそうな小さな声。
けれど、🌸はしっかりと頷いて、黒尾の腕にそっと自分の腕を絡めた。
閉園のアナウンスが流れ始めたエントランス付近。
ようやく合流した音駒バレー部一行は、黒尾と🌸の姿を認めるなり、一斉に動きを止めた。
「……あ」
研磨の短い呟きを合図に、五組の視線が黒尾の頭上に集中する。
そこには、普段の「鉄壁の寝癖」をさらに強調するかのように、可愛らしいキャラクターの耳が鎮座していた。
しかも、隣の🌸とお揃いのペアデザインだ。
「ぷっ……、アハハハハ! 黒尾さん、マジっすか!? 受験勉強でついに頭のネジが飛んだんすか!?」
リエーフが腹を抱えて爆笑し、夜久は震える手でスマホを構えた。