第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
その言葉を待っていたと言わんばかりに、夜久と山本が素早く視線を交わした。
「ああ、俺たちはアトラクション派! なあ、リエーフ、虎!」
「っす! 俺、さっき乗り損ねたやつ、どうしても行きたいんっす!」
「俺も! 男同士、暑苦しく並んでくるわ!」
あまりに不自然な食いつきに、🌸が目を丸くする。
「えっ、でも、せっかく来たんだし、最後にパレード見なくていいの?」
「いやー、俺らみたいなガサツな野郎に、パレードの良さは分かんねーよ」
夜久がわざとらしく肩をすくめ、隣でゲーム機をポケットにねじ込んだ研磨の背中を叩いた。
「な? 研磨もアトラクションの方がいいだろ」
「……うん。座ってじっとしてるの、疲れちゃうし」
「でも……」と食い下がる🌸の肩を、海が優しく叩いた。
「気にしないで。……それより、さっきから黒尾がさ、どうしてもパレード見たいって顔してるから。あいつ、ああ見えてロマンチストなんだよ」
「……はぁ!? 俺がいつそんな――」
黒尾が叫びかけた瞬間、山本の力強い腕がその言葉を封じた。
「いいから! 黒尾さんは🌸さんと一緒に、あのキラキラしたやつ、しっかり目に焼き付けてきてくださいよ! 俺たちは適当に回って、後で合流するからっ!」
「ちょっ……おい、お前ら!」
黒尾の静止も虚しく、音駒バレー部軍団は「じゃあな!」「健闘を祈るっす!」と嵐のように去っていった。
取り残された二人の間に、不意に静寂が訪れる。
遠くで流れる華やかなBGMが、急に大きく聞こえた気がした。
「……なんか、ごめんね。みんな、気を遣わせちゃったかな」
🌸が少し申し訳なさそうに、けれどどこか嬉しそうに黒尾を見上げた。
「……ったく。あいつら、余計なことばっか……」
黒尾は耳まで赤くしながら、後頭部をガシガシと掻いた。
「……まあ、いいよ。あいつらがそこまで言うなら、付き合ってやるよ。ほら、いい場所知ってんだろ? 案内しろ」
「ふふ、もちろん。とっておきの特等席があるよ」
🌸が差し出した手を、黒尾は一瞬ためらい、それからそっと握り返した。
「……合格したら、また来ような」
「えっ、今なんて?」
「……何でもねーよ。早く行かねーと、始まっちゃうだろ」