第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
彼女は再び、迷いのない動きでレンズを構えた。
驚きも、混乱も、すべてを心の奥に押し込んで、今は目の前の「一瞬」を切り取る。
そのストイックな姿は、やはり黒尾の知る彼女そのものだった。
「……あいつ、また構えやがった。……ったく、敵わねーな」
黒尾は小さく吐き捨てると、バクバクと暴れる心臓を抑えつけるように、力強く腕を組んだ。
レンズの向こうで彼女が何を想い、自分をどう映したのか。
その答えを知るのが怖くもあり、同時にどうしようもなく待ち遠しくなっていた。
ショーが終わると同時に、会場の熱気が一気に吐き出された。
対岸にいた🌸は、一緒にいた三人と手短に言葉を交わすと、カメラバッグを揺らしながらこちらへ向かって足早に駆け寄ってきた。
「……うわ、来る、マジで来る……!」
黒尾はさっきまでの威勢はどこへやら、蛇に睨まれた蛙のように硬直していた。
隣で研磨が「自業自得」と小さく呟く。
「クロ! 研磨も! ……それにみんな、勢揃いじゃん!」
人混みを抜けてきた🌸は、弾けるような笑顔で声をかけてきた。
その屈託のない表情に、黒尾の心臓はさらに跳ね上がる。
「よ、よぉ……。奇遇だな、こんなところで」
「本当にびっくりした! もしかして、みんなで前期試験の打ち上げとかで息抜きに来たの?」
「あ、ああ……。まあ、そんな感じ? たまたま思い立ってさ」
必死に「偶然」を装う黒尾を、夜久が冷ややかな目で見つめる。
「そうそう。こいつがさ、どうしても『夢が足りない』とか言い出して……」
「夜久さん、ナイスフォローっす!」
リエーフの余計な一言を、夜久が音速のローキックで封じる。
🌸はそんな様子を見て、可笑しそうに笑った。