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*夢物語* 【夢小説短編集】

第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】


ショーが最高潮に達し、煌びやかな光と音楽が会場を包み込む。


「うおーっ、すっげえ! 海さん見てください、今のバク転!」

「ああ、リエーフ、前の人の邪魔になるなよ」


夜久や海、リエーフたちは、いつの間にかこの「夢の国」のクオリティに圧倒され、純粋にショーを楽しんでいた。
研磨ですら、演出を興味深そうに眺めている。
だが、黒尾だけは違った。
彼はステージには目もくれず、対岸の立ち見エリアでレンズを構える🌸の横顔だけを、ただじっと見つめ続けていた。

やがて終盤、キャラクターたちがステージを降り、客席の間を練り歩き始める。
一人の人気キャラクターが愛嬌を振りまきながら、黒尾たちのいるエリアへと近づいてきた。
周囲のゲストが歓声を上げ、一斉に手を振る。
そのキャラクターの動きを追うように、対岸にいた🌸の巨大なレンズが、ぐいっとこちらを向いた。


(……あ、)


望遠レンズの奥にある彼女の瞳と、黒尾の視線が、空間を超えて真っ直ぐにぶつかった。

レンズ越しに、黒尾の驚いた顔がドアップで映し出される。🌸は一瞬、心臓が跳ね上がるのを感じた。
なぜ、ここに、彼がいるのか。
混乱と驚きが脳内を駆け巡る。
だが、指先は彼女の意志とは無関係に、長年の習慣で動いた。


『カシャッ』


無意識にシャッターを切った。
レンズ越しに視線が絡まったまま、一秒。二秒。
ようやく正気に戻った🌸が、カメラを顔から離した。


「……えっ、クロ……?」


声は届かない距離だったが、彼女の唇がそう動くのがはっきりと見えた。
黒尾はと言えば、見つかった恥ずかしさと、尾行していた後ろめたさで、顔を一気に茹で上がらせた。


「わっ……! やべっ、目が合った……!」


慌てて視線を泳がせ、不自然なほど空を仰いだり、隣の夜久の肩を掴んだりして誤魔化そうとする。
二人の間に、ショーの喧騒とは切り離されたような、妙に静かで熱い時間が流れた。
🌸は呆然とした顔で黒尾を見つめていたが、不意に、パッと表情を引き締めた。
フィナーレを告げる盛大な銀テープが宙を舞い、ステージ上が一層輝きを増したからだ。


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