第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
海の制止も耳に入らない。
やがて、🌸がパッと顔を輝かせた。
そのまま、ゲートの方へ向かって一目散に歩き出す。
「動いた! 相手は中か!? 中で待ち合わせなのか!?」
「黒尾さん、俺もう見てられないっす……! でも、確かめないわけにはいかないっす!」
「行くぞ野郎ども! チケット買うぞ!」
「……え、マジで入るの? 男六人で?」
研磨の抵抗も虚しく、黒尾を筆頭にした音駒バレー部軍団は、殺気立ったオーラを隠しきれないままゲートへと突撃した。
周囲のカップルや家族連れが何事かと道を開ける中、彼らの視線はただ一点、重いカバンを背負って夢の門をくぐる彼女の背中だけに注がれていた。
「……おい、止まったぞ」
黒尾が低く鋭い声を出す。
パレードルートの、いわゆる「一等地」
そこには、すでに一人で場所取りをしていた一人の男がいた。
整った顔立ちに、シュッとしたスタイル。
どこからどう見ても、テーマパークの背景に溶け込む「イケメン」だった。
「ちょっ……! 🌸さん、あの男に話しかけたっす! しかも隣に座った!!」
リエーフが叫びそうになるのを、夜久が慌てて口を塞いで押さえ込む。
「落ち着けバカ! ……でも、あれは……完全に『できてる』距離感だな」
「嘘だろ……。あいつ、あんな幸せそうに笑うのかよ、俺たちの前以外で」
黒尾の眉間のシワが、かつてないほど深くなる。
🌸はカバンからクッションを取り出し、その男と同じレジャーシートに腰を下ろした。
二人は顔を寄せ合い、楽しそうに談笑している。
傍目から見れば、非の打ち所がない美男美女のカップルだった。
「……ねえ、クロ。あの人たちが持ってるもの、見て」
研磨の冷静な指摘に、一行は目を凝らした。
二人の手には、可愛らしいポップコーンバケットでもぬいぐるみでもなく、鈍く光る巨大なレンズを装着した、見るからに高価な一眼レフカメラが握られていた。
「何だあれ……大砲かよ」
「二人してカメラ談義か……。趣味が合うデートって、一番質が悪いじゃないっすか!!」
山本が絶望に打ちひしがれながら、少し離れたパレードルートの後方に陣取る。