第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
結局、黒尾のあまりのしつこさに根負けした彼らは、嫌々ながらも放課後の「尾行作戦」に付き合う羽目になった。
学校の最寄駅。
電柱や曲がり角に、不自然なほどガタイの良い男たちが等間隔で潜む。
「……クロ、これ絶対目立ってるよ」
「しっ! 静かに。……来たぞ」
🌸は、やはりどこか楽しげな足取りで、脇目も振らずに駅に入って行く。
「……おい、マジかよ」
駅のホーム、柱の陰に身を隠しながら黒尾が絶句した。
電車を数回乗り継ぎ、たどり着いたのは舞◯。
目の前に広がるのは、紛れもなくあの「夢の国」の玄関口だった。
「クロ、あいつ……一人でここに来たの? メンタル強すぎじゃない?」
「いや研磨、まだわからねーだろ。誰かと待ち合わせかもしれねーし」
黒尾の声は、期待と不安が混ざって少し裏返っていた。
その背後では、暇を持て余したリエーフと、付き添いの海までもが顔を揃えている。
「えっ! デートっすか!? 🌸さん、ついに彼氏っすか!?」
「リエーフ、声がデカい。……でも黒尾、あいつのカバン、いつもより重そうだったな。あれじゃデートっていうか、行軍だぞ」
夜久が冷静に指摘するが、山本のショックは隠しきれない。
「デートでディ◯ニー……。そんなの、そんなの『リア充』の極みじゃないっすか! 相手は誰だ! どこの馬の骨だ!!」
「山本、落ち着け。……ほら、あそこだ」
海の穏やかな声に全員が視線を向ける。
改札を出た🌸は、時計を気にする素振りを見せながら、ゲート近くの広場で立ち止まった。
「……あ、誰か探してる風じゃないっすか? ほら、キョロキョロしてる!」
リエーフが指差す先で、彼女はスマホを取り出し、誰かにメッセージを送っているようだった。
「……クソ、やっぱり待ち合わせかよ」
黒尾が歯を食いしばる。
脳内では、見知らぬイケメン(しかも他校のバレー部キャプテン級)が現れ、彼女の重いカバンを「持つよ」とスマートに受け取る光景が再生されていた。
「あー、クロの顔がどんどん般若になっていく笑」
「研磨、笑い事じゃねーよ! もし相手が変な奴だったら、俺がその場でブロックしなきゃなんねーだろ!」
「いや、黒尾。それはやめとけ」