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*夢物語* 【夢小説短編集】

第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】


「クロ。それ、ただの嫉妬」

「嫉妬じゃねーよ! ……いや、まあ、否定はしねーけどさ。あいつ、専門学校に行ったらもっと自由になるだろ? 今からそんなに外の世界が楽しいなら、俺の入る余地とかなくなるんじゃねーかなって……」


「……バカじゃないの……クロの悩み、次元が低すぎて処理しきれない。……それより受験に集中しなよ。そんな顔して試験に落ちたら、それこそ🌸に合わせる顔ないでしょ」

「わーってるよ! 言われなくてもやってるっつーの」


研磨の正論すぎる発破に、黒尾は手元の参考書を乱暴に捲った。
🌸の「早帰りの理由」が他の男だろうが、新しい趣味だろうが、今の自分にできるのは目の前の数式を解くことだけだ。
黒尾は無理やり雑念を振り払い、シャーペンを走らせた。


そして迎えた、2月14日。
校内がどこか浮足立ち、廊下に甘い匂いが漂うバレンタインデー。
黒尾は図書室の席で、意識しないようにしつつも、入り口が開くたびに視線を投げていた。


(……いや、期待してねーよ。別に。毎年恒例だしな)


自分に言い聞かせていると、不意に視界が遮られた。


「お疲れ、クロ。はい、これ。今年の分」


ひょっこりと顔を出した🌸が、手際よく二つの箱を机に置いた。
一つは黒尾の前に、もう一つは隣で眠そうにしている研磨の前に。


「お、サンキュー。……って、これ」


箱のデザインを見て、黒尾の肩がわずかに落ちた。
某『夢の国』のロゴが入った、お馴染みのチョコレートBOX。


「……今年も、これ?」

「うん! 結局これが一番ハズレないでしょ? 」

「……まあ、そうだけど。……研磨のも、俺のと全く同じ、だよな?」

「当たり前じゃん。二人分買ってくるの結構大変なんだから。大事に食べてよね」


🌸は満足げに笑うと、「じゃあ、私、他の人たちに配ってくるから!」と、大きな紙袋を抱えて立ち去った。
袋の中には、これまた『夢の国』の定番土産であるチョコクランチが大量に詰まっている。


「おーい、みんなー! 友チョコだよー!」


教室の隅や廊下で、山本や夜久たちが「おお!」「安定のクランチ!」と歓声を上げているのが聞こえる。
黒尾は自分の手元にある、少しだけ豪華な箱入りのチョコを見つめた。



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