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ヒーローと彼女の物語【ヒロアカ夢短編集】

第1章 君を追いかける 相手 :相澤消太


一方、その頃の相澤は——
現場の引き継ぎを最短で終わらせ、移動用のバイクに跨った瞬間、ポケットの中でスマホが震え続けていた。
ヘルメットを被る前に画面を確認した相澤は、危うくスマホを握り潰しそうになる。
送られてきたのは、テラス席でパスタを前に少し照れくさそうに笑う🌸の写真。
背景には、自分たちが旅行で見るはずだったものより、ずっと青くて綺麗な海が広がっている。

『見てよこの笑顔! 消太といる時より楽しそうじゃね? このまま夜のイルミネーションまでデートコースに入れちゃうぜ〜!』

「…………ふざけるな」

低く、地を這うような声。
写真の中の🌸は確かに笑っていたが、相澤には分かった。
その瞳の奥に、自分を探しているような寂しさが残っていることに。
彼女に美味しいものを食べさせてやりたかったのは、自分だ。
その隣で、綺麗な海を一緒に見たかったのも、自分だ。

(……一周年を、他の男の車で過ごさせてたまるか)

相澤は乱暴にヘルメットを被ると、シールドを下ろした。
普段なら制限速度を厳守する「合理的なプロヒーロー」だが、今の彼は一分一秒でも早く、その笑顔の隣を奪い返したくて仕方がなかった。
ギュルルッ、とタイヤがアスファルトを噛む。
マイクが送ってきた写真の背景——建物の特徴と、海の見え方。相澤の頭の中にある地理データが、瞬時に場所を特定した。

(……そこから動くなよ。すぐに行く)

アクセルを回す手に、無意識に力がこもる。
現場から店までの距離を、彼は最短距離で、それこそ「抹消」の個性を使う時のような鋭い集中力で駆け抜けた。

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