第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
【黒尾ルート解禁】
春高という大きな祭りが終わり、音駒高校のバレー部にも静かな「引退」の時が訪れていた。
黒尾たちも、あれほど触っていたボールを参考書に持ち替え、放課後は図書室や塾へ向かう日々。
そんな中、進路を早々に決めた🌸だけは、どこか浮き足立った様子で校内を闊歩していた。
カメラの専門学校への入学を控え、彼女は今日も「撮りたいもの」を求めて、毎日放課後になるとそそくさと校門を抜けていく。
「……あ、また行った」
図書室の窓際。
黒尾がシャーペンを止め、校門へと向かう🌸の背中を、無意識に目で追っていた。
「黒尾、お前の視線が重すぎて🌸が転びそうなんだけど」
隣で問題集を解いていた夜久が、呆れたように声を落として言った。
「あ? ……別に見てねーよ。あいつ、最近帰り早ぇなーと思っただけだわ」
「嘘つけ。そんなに寂しそうな顔してよく言うぜ。なあ、山本」
「っスね。黒尾さんのあの顔、もう『行かないで』って書いてあるレベルっスよ。てか黒尾さん、いい加減言っちゃえばいいじゃないっスか」
斜め前の席で、期末に向けて部活の休みの日に、英単語帳と格闘していた山本までが参戦してくる。
黒尾は目を丸くして二人を交互に見た。
「……は? 何をだよ」
「決まってんだろ。🌸のこと」
「……え、お前ら。気づいて……」
「気づかない方が無理だろうが!」
夜久が小さな声で、けれど鋭くツッコミを入れた。
「あいつが他の奴にカメラ向けてる時のお前の顔。あれ、獲物を狙う猫っていうか、エサを取られた野良猫みたいな顔になってんだよ」
「えっ、俺そんな顔してた……?」
「してたっス! 日向の時なんて、俺、黒尾さんが日向を物理的にブロックしに行くんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたんスから!」
二人のあまりにストレートな言葉に、黒尾は額を押さえて天を仰いだ。
自分では完璧に「幼馴染」の仮面を被っていたつもりだったのだ。
「……マジか。俺、そんなにバレバレだったのかよ」
「バレバレだよ。研磨だって『クロ、わかりやすすぎ』って言ってたぞ」
「あいつ……! 知ってて黙ってたな……」
黒尾は観念したように項垂れた。