第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
4回戦、🌸は黒尾や研磨と肩を並べ、烏野と鴎台の激闘をファインダー越しに追っていた。
「……ねえ、🌸。烏野の人たちから伝言」
研磨がスマホを弄りながら、ぼそりと告げた。
「さっきの写真が凄すぎて、他のメンバーも『自分たちを世界一カッコよく撮ってくれ』って、日向経由でうるさいんだけど……」
「あはは、光栄だね。任せて。全員、最高の一枚を切り取ってみせるよ」
宣言通り、🌸はレンズを向けた。
田中の力強いスパイク、西谷の魂のレシーブ。
カメラのシャッター音は止まることがなかった。
けれど、再び日向にピントを合わせた瞬間、🌸の指先が止まった。
(……え?)
望遠レンズが映し出すのは、異常なまでの発汗と、浅く速い呼吸。
「……ねえ、クロ。日向くん、おかしくない?」
「あ? ……ああ、さっきから動きがキレすぎて怖いくらいだけど……」
「違うの。顔色が、その……」
言いかけた、その時だった。
コートの中央で、あの「翼」を持っていた少年が、力なく崩れ落ちた。
「翔陽……」
研磨が弾かれたように立ち上がり、控えへと運ばれる日向を追って姿を消した。
残された🌸と黒尾は、ただ呆然とその光景を見つめるしかなかった。
エースを欠いた烏野は、それでも必死に食らいつき、泥臭くボールを繋いだが――無情にも、試合終了のホイッスルが響き渡った。
「……終わっちゃったね、クロ」
「……ああ。あいつら、本当にとんでもねーとこまで来たのにな」
会場を包む拍手と、どこか切ない余韻。
🌸は重い足取りで、烏野のマネージャーの元へ向かった。
「あの……すみません。音駒の、◯と申します」
「……あ、確か、孤爪くんの。……日向から聞いてるわ。素敵な写真をありがとう」
清水の瞳も、隠しきれない悔しさで潤んでいた。
🌸は静かにスマホを取り出した。
「これ……今日の試合。音駒戦と鴎台戦のデータです。後で、みんなで見てほしくて。特に、最後の日向くんの写真は……。不謹慎かもしれないけど、彼が最後まで戦っていた証だから」
「……ありがとう。みんな、きっと喜ぶ。立ち直るための力になると思う」