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*夢物語* 【夢小説短編集】

第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】


オレンジ色のコートが放つ独特の熱気と、何千人もの観客が発する地鳴りのような歓声。
ついに迎えた春高の本戦。
音駒は初戦から2戦、無事勝ち進み、迎えた3回戦。


烏野対音駒 通称『ゴミ捨て場の決戦』


幼馴染である黒尾や研磨たちが、いつになく並々ならぬ気合いを剥き出しにしていることは、ファインダー越しにも痛いほど伝わってきた。
因縁の相手であり、深い付き合いがあると聞いていたその対戦校との試合は、一進一退の攻防が続く、息の詰まるような展開だった。

🌸は手に汗を握りながらも、その一瞬一瞬を記録するために懸命にレンズを覗いた。
音駒の粘り強いレシーブ、研磨の冷静な采配。
そのすべてを切り取ろうと指先に神経を集中させる。


しかし、その瞬間は唐突に訪れた。


対戦相手である烏野高校。

その中心にいる、ひときわ小柄な選手がコートを駆けた。
まるで重力など存在しないかのように、彼は床を蹴り、空へと高く舞い上がった。



(……あ、)


レンズの中で、彼が最高到達点に達する。
鳥籠に囚われていたはずの小さな背中に、黒く、力強い翼が広がる幻影が見えた気がした。


それはまさに、彼が空へと羽ばたいた決定的な瞬間だった。


敵であるはずなのに、その圧倒的な「躍動」に胸が震え、🌸は無意識のうちにシャッターを切っていた。

レンズ越しに映る彼の姿は、あまりにも純粋で、あまりにも自由で——気づけば、敵味方の境界を越えた感動が彼女の胸を熱く焦がしていた。


「……すごい」


呟きは歓声にかき消されたが、カメラに残されたその一枚には、確かに伝説の始まりのような輝きが宿っていた。



コート上では、文字通り死力を尽くしたラリーが続いていた。
ボールが床に落ちるその瞬間まで、誰一人として諦める者はいない。

その結末はあまりに唐突に、そして意外な形で訪れた。

ネットを挟んで火花を散らした激闘の最後、ボールがコートに落ちたその瞬間。
🌸は、震える指先でシャッターを切った。


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