第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
「おーおー、盛り上がってんねぇ」
黒尾がニヤニヤしながら人垣を割って、自分の写真を見つめた。
「……うわ、何これ。俺、こんなに真剣な顔をしていたっけ?」
「していたよ。クロ、ブロックの瞬間はいつもそんな怖い顔」
「怖いって言うなよ! ……でも、まあ……悪くないな。いや、むしろ良すぎる。これ、実物よりカッコいいんじゃないか?」
🌸はカメラを首から下げたまま、いたずらっぽく笑った。
「クロは黙っていればモデル級なんだから。被写体がいいと、カメラマンも楽で助かるよ」
「……これ」
ふいに、隣で新聞を凝視していた研磨がぼそりと呟いた。
彼が指差したのは、自分がトスを上げる直前のアップショット。
ボールが指先に触れるか触れないかの、コンマ数秒の世界だった。
「これ……俺がトスを上げる先、見ているよね」
「うん。研磨の視線が一番鋭くなる瞬間。そこ、狙っていたんだ」
「……怖っ、🌸には、俺がどこに上げるかバレている気がする」
研磨は少しだけ照れくさそうに視線を逸らしたが、その耳元はわずかに赤くなっていた。
「新聞部の人たちも喜んでいるし、部員のみんなにもプリントして配ろうか?」
🌸の提案に、黒尾が「お、マジか! 夜久とか山本とか、絶対喜ぶぞ。あいつら自分の『キメ顔』大好きだからな」と嬉しそうに頷いた。
「じゃあ決まり。本戦の時は、もっとカッコいいやつを撮ってあげる」
「……ほどほどにね。あんまり撮られると、試合に集中できないから」
笑い合う二人を見ながら、🌸は再びファインダーを覗いた。
春高の本戦。
もっと速く、もっと激しく動く彼らをどう切り取ろうか。
彼女の指先は、すでに次のシャッターチャンスを求めて震えていた。