第4章 ファインダー越しの君 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
液晶画面に表示されたのは、研磨がトスを上げる瞬間の横顔だった。
そこには、普段の「面倒くさい」という顔ではなく、勝負師としての冷徹な熱が宿っている。
「……これ、俺じゃないみたい」
「何言ってるの。これが、私がずっと見てきた研磨だよ」
🌸は微笑み、次に黒尾が豪快にバックアタックを決めた瞬間の写真を見せた。
「クロもそう。二人とも、コートの中にいる時が一番かっこいいんだから」
黒尾が遠くから「おい、俺のイケメン写真は撮れたかー?」と手を振っている。
🌸は「変な顔しか撮れてない!」と冗談で返しながら、こっそりと一番会心のショットを保存した。
彼女のカメラには、スコアボードには残らない、彼らの汗と、呼吸と、そして幼馴染にしか見せない一瞬の表情が、確実に刻まれていく。
「春高本戦も、一番いい場所で、一番いい瞬間を撮らせてね」
レンズを磨き直す🌸の瞳は、被写体である彼らと同じくらい、真っ直ぐな熱を帯びていた。
掲示板の前は、身動きが取れないほどの人だかりができていた。
貼り出された「音駒バレー部・春高出場記念特集」の新聞は飛ぶように売れ、残るは掲示板の分だけだった。
奇跡の「一秒前」。
「ちょ……これ見てよ。リエーフ、いつもより三割増しでイケメンじゃない?」
「本当だ。ていうか、研磨先輩がこんなに『動いてる』写真、初めて見たかも……」
通りかかる生徒たちの感嘆の声に、隅っこでそれを見守っていた新聞部員がホクホク顔で🌸を振り返った。
「◯さん! 大好評だよ。君に頼んで本当に良かった!」
「あはは、ありがとうございます。みんなが頑張っていたから、私はシャッターを押しただけですよ」
「いやいや、謙遜しすぎ! この黒尾のスパイクの瞬間なんて、指先の動きまで見えるのに、背景の熱気がボケずに伝わってくる。『今にも動き出しそう』なのに、ピントが吸い付いているんだよね。これ、うちの部員じゃ逆立ちしても撮れないよ」
そこへ、練習に向かう途中の黒尾と研磨が姿を現した。