第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
「……ん。……俺も」
「え……?」
「……俺も。……🌸のこと、ずっと……好きだよ」
絡められた指先から、研磨の体温がダイレクトに伝わってくる。
いつもは気だるげに伏せられているはずの彼の瞳が、今は強く、真っ直ぐに🌸を射抜いていた。
「……もう、逃がさないよ。俺の言ったこと、ちゃんと聞こえた?」
「……っ、う、うん……聞こえた。私も、好き……」
真っ赤になって俯く🌸を見て、研磨の唇が満足げに、少しだけ意地悪く弧を描いた。
形勢逆転――。
さっきまでの不機嫌さはどこへやら、自信を取り戻した猫のような、色っぽくも鋭い光を瞳に宿して。
「ねぇ、……🌸、こっち向いて」
「え……っん、」
顔を上げた瞬間、視界が研磨の顔でいっぱいになった。
触れるだけの、けれど確かな熱を持った柔らかな感触。
「……え、あ……け、研磨……?」
思考が真っ白にフリーズする🌸を余所に、研磨は少しだけ顔を離すと、手にしたチョコの箱を愛おしそうに指でなぞった。
「これ……大事に食べるね……」
上目遣いの、それでいて熱を孕んだ流し目。
心臓を直接掴まれたような衝撃を残し、研磨は「おやすみ」とだけ言い残して、軽やかな足取りで家の中へと消えていった。
「…………ッ!!!」
残された🌸は、玄関の前で自分の唇を押さえたまま、その場にへたり込みそうになる。
(な、何今の……!? 研磨があんな、あんな色気ある顔するなんて聞いてない……!)
いきなりのキスと、見たこともない大人びた表情の余韻に、顔どころか全身が発火しそうなほど悶えるしかなかった。
一方、家に入った研磨は――。
「…………ふぅ」
玄関のドアを背にした瞬間、大きく息を吐き出した。
さっきまでの余裕たっぷりの態度はどこへやら、彼の耳元も、首筋も、酷く赤く染まっている。
「……あんなの、心臓保たない……」
それでも、胸に抱えた箱を壊さないように、宝物のように両手で抱え直した。
大きなハートを見つめながら、研磨はそっと指先で箱を撫でた。
本当は自分の方が、彼女というゲームに一生勝てそうにないことを、彼は誰よりも自覚していたーー。