第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
「……あ。……🌸」
最初に顔を上げたのは、研磨だった。
汗だくで真っ赤な顔だったけれど、その瞳には、🌸が予想していたような絶望はなかった。
「研磨……お疲れ様。……最後、その、すごかった。本当に……」
「……かっこ悪かったでしょ。最後、俺のミス。……滑っちゃった」
研磨はそう言いながら、タオルで顔を拭った。
その口元には、微かな、本当に微かな笑みが浮かんでいた。
「……でも。……バレー、楽しかった……やって良かったって、思えた」
「……! うん。……伝わったよ、研磨が楽しそうなの」
🌸の瞳から、堪えていた涙が溢れた。
研磨がバレーを「楽しい」と思える日が来ることを、誰よりも近くで願っていたから。
「おーおー、お前が泣いてどうすんだよ」
背後から、同じく限界まで戦い抜いた黒尾が、いつものような、けれどどこか晴れやかな顔でやってきた。
「クロ……お疲れ様。みんな、本当にかっこよかった」
「サンキュな。……最後、研磨があんなに必死にボール追うなんて思わなかったわ。……🌸、お前の作ったお守り、効きすぎたかもな」
「……クロ、うるさい。……お守りは関係ない。……俺が、翔陽に負けたくなかっただけ」
研磨がぶっきらぼうに言い返すと、黒尾は「はいはい」と笑って🌸の頭をポンと叩いた。
「ま、最高の舞台で、最高に『研磨らしい』終わり方だったよ。……な、研磨?」
「……最悪。……一生言われる」
黒尾たちが先引き上げる中、研磨がふと立ち止まり、🌸の袖を指先で少しだけ引いた。
「……🌸」
「ん?」
「……応援、聞こえてた。……ありがと」
やり切った幼馴染の背中を見送りながら、🌸は込み上げる切なさと愛おしさを抱えて、静かに微笑んだ。