第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
「……クロ…」
「お? 何かな、研磨さん」
「……木兎さんも。……うるさい……」
研磨の声は低く、平熱のままだったが、その奥に潜む「不快」の濃度が急激に上がった。
「研磨ぁ! お前ももっと🌸を見習って社交的に……」
「……聞こえなかった?」
研磨がパタン、とゲーム機を閉じ、ゆっくりと顔を上げた。
瞳孔が収縮したような、獲物を見定める猫のような鋭い眼光。
「……今、二人で話してる。……邪魔しないでって、言ってるんだけど。……日本語、通じてない?」
「う、お……?」
「……クロも。……勝手に触らないで。……今すぐ、そこから離れて。……三秒以内」
「うわっ、マジだ。研磨がマジでキレてる」
黒尾はニヤリと笑い、降参のポーズを取りながら、固まっている木兎の襟首を掴んだ。
「ほら木兎、行くぞ。これ以上いると、本気で呪われるわ」
「な、なんだよ! 孤爪も、あんな顔するんだな!」
嵐のように去っていく二人。
再び訪れた静寂の中で、🌸は呆然としていた。
「……研磨? あの、大丈夫……?」
研磨はしばらく黙っていたが、やがて不機嫌そうに、でもどこか縋るように、🌸のTシャツの裾をぎゅっと掴んだ。
「……あいつら、本当に嫌い。……うるさいし、デリカシーない」
「えっ、あ、うん……ごめんね?」
「……🌸が謝ることじゃない。……けど」
研磨はそのまま、自分の肩に彼女の頭を預けるように引き寄せた。
「……しばらく、このままでいて。……あいつらが、近寄ってこないように」
そう言って再びゲームを開いた研磨の横顔。
不機嫌そうな唇の端が、ほんの少しだけ、熱を帯びて赤くなっているのを、🌸はすぐ近くで見つめていた。