第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
最終日の練習がすべて終わり、合宿の締めくくりであるBBQが始まった。
広場には肉の焼ける香ばしい匂いと、解放感に満ちた男たちの野太い声が響き渡っている。
「……あーあ。見てよあの『聖域』。男子禁制ってオーラがすごいね」
黒尾が顎で示した先では、マネージャーたちが一箇所に集まり、テキパキとお肉や野菜を焼いて楽しんでいた。
そこには他校のマネージャーに混じる🌸の姿もある。
「……本当。……暑いし、煙たい。……もう帰りたい」
研磨は早々に食べ終えると、喧騒から逃れるように少し離れた木陰のベンチへ移動した。
慣れた手つきでゲーム機を取り出し、画面の中の静かな世界に没頭する。
「……研磨、やっぱりここにいた」
「……🌸。もう、食べ終わったの?」
「うん、一段落。……はい、これ。お口直し。梨、剥いたから」
差し出された小皿を、研磨は視線だけ動かして確認した。
梨は瑞々しくて、この暑さの中では肉よりもずっと食欲をそそる。
「……ん。……サンキュ」
研磨はゲームを中断することなく、空いた左手で一切れ口に運ぶ。
🌸はそのまま、研磨の邪魔にならない程度の距離を開けて、ベンチの端に腰を下ろした。
「……研磨。一週間お疲れ様。……すごかったよ。他校の人たちも、みんな研磨のトス見て『うわ、何だあいつ』って顔してた」
「……別に、普通。……でも、……🌸がいたから、……少しだけ、マシだったかも」
ゲームの画面を見つめたまま、淡々と、けれど微かに体温を乗せて研磨が言う。
🌸がその言葉に驚き、何かを言いかけようとした、その時。
「ヘイヘイヘーーーイ!! BBQだぞ! 肉食え肉! ほら、このカルビ、最高にジューシーだぞ!」
「ちょっと木兎、研磨に無理やり食わせんなよ。……それより🌸、お前さっきの梨、俺の分は?」
木兎と黒尾が絡んできた。
「あ、クロ。これは研磨の分で……」
「いいじゃん、一個くらいさ。……あーあ、研磨。お前、せっかくの合宿最終日に自分だけ特等席でケアしてもらうなんて、贅沢だねぇ」
黒尾がニヤニヤしながら、🌸の頭をポンと叩く。
その瞬間、研磨の手の中で、ゲームのボタンを押す音が止まった。