第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
「……研磨ー。🌸モテモテだねぇ。今、少なくとも五人は落としたぞ?」
黒尾がニヤニヤしながら、研磨の肩に肘を乗せる。
研磨は🌸の作ったおかずを無心に口へ運びながら、その瞳をかつてないほど冷たく研ぎ澄ませていた。
「……うるさい。クロ、食べないならそれ、俺にちょうだい」
「おっと、食欲で誤魔化すか。でもほら見ろよ、あっちで烏野の坊主たちがまた騒ぎ始めてるぜ?」
「🌸さん! 俺の嫁になってください!!」
「龍!抜け駆けすんな! 俺が先だ!!」
そんな騒ぎを、研磨は箸を置いて一蹴した。
「……無理だから。……あいつら、本当に馬鹿」
「お? 言うねぇ。無理って、なんで?」
黒尾が意地の悪い質問を投げかけると、研磨は食堂の隅で忙しそうに動く🌸をじっと見つめ、ボソリと、けれど確信を持って告げた。
「……🌸は、そんなに安くない。……あと、あいつらにはもったいない」
「ははっ、独占欲の塊だな!」
合宿1日目の夜。
女子マネージャー用の大部屋では、入浴を済ませた面々が布団の上に座り込み、修学旅行さながらの空気に包まれていた。
「……で、結局、恋バナしようにもネタがないんだよね」
「わかる。私たち、バレーと部員の世話しかしてないもんね……」
雀田が溜息をつくと、白福がムシャムシャとお菓子を食べながら、隣で縮こまっている🌸に視線をスッと移した。
その瞳が、獲物を見つけた猛獣のようにキラリと光る。
「ねぇ、そういえば🌸ちゃんさ。音駒の黒尾くんと相当仲良いよね?」
その言葉に、部屋中のマネージャーたちが一斉に身を乗り出した。
「あ、えっと……クロとは、本当にただの幼馴染というか。お兄ちゃんみたいな感じで……」
「『クロ』呼び! いいね、距離感。でもさ、今日の夕飯の時も黒尾くん、すごい🌸ちゃんのこと構ってたでしょ?」
「あれは、いつものからかい癖なんです。本当に、私をからかって反応を見て楽しんでるだけで……」
🌸が困ったように笑うと、烏野の清水が静かに、けれど逃さないと言わんばかりに口を開いた。
「……じゃあ、もう一人の幼馴染は?」
その瞬間、🌸の動きがピタリと止まった。