第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
研磨は🌸の手を引いて、部員たちが集まる喧騒から少し離れた場所へと連れて行く。
その様子を遠くから眺めていた黒尾は、声を殺して笑った。
(……チビちゃんは良くて、田中たちはダメ、か。……研磨のボーダーライン、分かりやすすぎて笑えるわ)
体育館に響くバレーシューズの摩擦音と、鋭い打球音。
コートの中央で、淡々と、けれど正確無比にトスを上げる研磨の姿を、🌸は食い入るように見つめていた。
(……やっぱり、バレーしてる時の研磨は、一番かっこいいな)
普段のやる気なさげな様子とは違う、鋭い観察眼。
その横顔に見惚れていると、隣にいた梟谷のマネージャー、雀田がクスクスと笑いながら肩を叩いた。
「いいよね、孤爪くんのあの独特の雰囲気。……さ、🌸ちゃん、次は夕食の準備しちゃおうか」
「あ、はい! すみません、ぼーっとしちゃって……」
「いいのいいの。一生懸命手伝ってくれるから、私たちも助かっちゃう」
他校のマネージャーたちに可愛がられながら、🌸は合宿の大量の食事作りに励んだ。
家庭科部で鍛えた腕前は、こんな場所でも遺憾なく発揮されていた。
そして、待ちに待った夕食の時間。
食堂に集まった部員たちの間から、「うおっ!?」「なんだこれ、うますぎる!」とどよめきが上がった。
「え、今日のハンバーグ、肉汁のレベル違くないか!?」
「このポテトサラダも……なんか隠し味入ってるだろ、これ!」
猛烈な勢いで米をかき込む部員たち。
そこへ、梟谷のマネージャー・白福が誇らしげに口を開いた。
「ふふん。今日はね、音駒の🌸ちゃんが味付けのアドバイスをしてくれたんだよ。ソースも彼女の手作り!」
その言葉に、食堂中の視線が🌸に集まった。
「マジかよ!? 🌸さん、神ですか!?」
「俺、音駒に転校していいっすか!?」
口々に感謝を叫ぶ部員たちに、🌸は顔を赤らめながらはにかんだ。
「そんな、私は少しお手伝いしただけで……。みんなが喜んでくれて、力になれてよかったです」
その、控えめながらも太陽のような微笑み。
その瞬間、会場のあちこちから「……っ、今の笑顔やばい」「音駒、ずるすぎだろ……」という、明らかに「落ちた」男たちの溜息が漏れ聞こえた。