第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
夏の早朝、合宿へ向かうバスの前に集合したバレー部一同は、その「サプライズ」に騒然となった。
「おはよーございまーす! 梟谷グループの合宿、私も手伝いに行くことになりました!」
いつもの制服ではなく、動きやすそうなTシャツ姿で手を振る🌸。
黒尾がニヤニヤしながら彼女の隣で胸を張る。
「🌸さん!!」
「おー、🌸! マジかよ最高じゃん!」
「リエーフ、お前鼻の下伸びすぎ。……でも、助かるな、飯が豪華になりそうで」
部員たちが口々に歓声を上げる中、一人だけ、石像のように固まっている男がいた。
「……研磨? どうしたの、その顔」
🌸が恐る恐る顔を覗き込む。
研磨は、幽霊でも見たかのような表情から一転、不快感を隠そうともせず、前髪の隙間から鋭い視線を黒尾に向けた。
「……聞いてない。……なんで、🌸がここにいるの」
「なんだよ、サプライズだって言っただろ? 喜べよ研磨、一週間ずっと一緒だぞ?」
黒尾が肩を叩くが、研磨はそれを冷たく振り払う。
「……勝手なことしないで。……暑いし、面倒だし。……最悪」
吐き捨てるようにそう言うと、研磨は一人でバスに乗り込んでしまった。
喜んでもらえると思っていた🌸は、胸の奥がキュッと締め付けられる。
「…あはは、研磨、朝弱いもんね。……よし、みんな! 準備できてる? 行こう!(……そんなに、嫌だったのかな。私、邪魔だった……?)」
悲しさを押し殺して、努めて明るく振る舞う🌸。
そんな彼女の震える声に、黒尾は一瞬だけ目を細めたが、すぐにいつもの食えない笑みに戻った。
「おし、乗った乗った! ほら、🌸も。荷物貸しな」
バスに乗り込み、🌸は当然のように、一番後ろの席で一人スマホをいじっている研磨の隣に座ろうとした。
だが、その肩を黒尾の大きな手ががっちりと掴む。
「あー、ごめん🌸。悪いけど、行きは俺の隣。マネージャーとしての段取りとか、差し入れの相談とか、詰めたいことが山ほどあんのよ」
「えっ、でも……」
「いいからいいから。ほら、研磨も。俺たちが仕事の話してる間、ゆっくり寝てろよ」