第3章 幼馴染は卒業します 【ハイキュー!! 孤爪研磨】
赤くなって俯く🌸。
その様子を見て、研磨の胸の奥で、言葉にできない「モヤッ」とした塊が膨れ上がる。
黒尾が彼女に触れると、なぜか自分の場所を侵されたような、落ち着かない気分になるのだ。
「……🌸、こっち向いて」
「え? 研磨?」
研磨は、黒尾の腕に引き寄せられている🌸の手首を、無造作に掴んで自分のほうへ引き寄せた。
「……ここ、クリアできない。手伝って」
「あ、うん。……研磨、顔近いよ?」
今度は研磨が、🌸の肩に頭を乗せるようにして画面を覗き込む。
それは黒尾に対する、彼なりの精一杯の「牽制」だった。
黒尾は、そんな研磨の分かりやすい反応を見て、口の端をニヤリと吊り上げた。
(……自覚してないわりには、独占欲ダダ漏れじゃねーか)
黒尾は研磨の気持ちを、ずっと前から知っている。
だからこそ、こうしてたまに火をつけてやるのが、彼なりの楽しみでもあった。
「ま、邪魔者は退散しますかね。……放課後、部活遅れんなよ? 」
黒尾が嵐のように去っていった後、教室には再び二人の空気が戻った。
けれど、研磨の手元は止まったままだ。
彼は掴んでいた🌸の手首を離すと、少し不機嫌そうに視線を落とした。
「……🌸。さっきの、距離近すぎ」
「え? ああ、クロのこと? いつもあんな感じじゃん。幼馴染だし、お兄ちゃんみたいなもんだし」
🌸は苦笑いしながら、中断していたゲームを再開しようとする。
その「いつも通り」という言葉が、今の研磨にはひどく癪に障った。
「……いつも通りなら、何されてもいいの」
「えっ、そういうわけじゃ……」
「クロ、わざとやってる。……それ、わかってて許してるなら、バカだよ」
研磨の声が、いつもより一段低い。
明らかに機嫌を損ねた様子の彼に、🌸はパチクリと目を瞬かせた。
(……もしかして、研磨、怒ってる? それって……少しは意識してくれてるのかな)