第10章 鬼狩りの受難 【REBORN 雲雀恭弥】
闇を裂く、一筋の烈風。
「……死ねっ!下衆がッ!」
少女の細い腕から放たれたとは思えぬ、重厚な一撃。
🌸の日輪刀が、醜悪な鬼の首を深々と断ち割った。
師である不死川実弥に、文字通り「死ぬほど」叩き込まれた、一切の慈悲なき一閃。
ボト、と湿った音を立てて鬼の頭部が地面を転がる。
「……はぁ、はぁ……っ」
🌸は膝をつき、激しく肩を上下させた。
戦うことは、いつまで経っても好きになれない。
斬った瞬間の嫌な手応え、立ち込める血の匂い。
できることなら、日当たりの良い縁側で一日中ぼんやりしていたい。
だが、消えゆく鬼が最期に放った執念――血鬼術の光が、彼女を飲み込んだ。
「え……?」
極彩色の渦に視界が歪み、平衡感覚が消失する。
次に目を開けたとき、そこは――あまりにも、眩しすぎた。
「……ここ、どこ?」
鼻を突くのは血の臭いではなく、春の風が運ぶ花の香。
見上げれば、吸い込まれそうなほどに高い青空。
夜の帳も、鬼の気配も、どこにもない。
そこは、見覚えのない学校の屋上だった。
「………学校??」
「…………ふわぁ」
不意に、すぐ近くで欠伸の音がした。
反射的に体が強張る。
給水塔の影、制服を肩にかけた黒髪の少年が、気だるげに身を起こしたところだった。
鋭く、冷徹な瞳でこちらを睨みつけている。
「……君、誰。ここで何してるの」
その声には、明らかな不快感が混じっていた。
「あ、あの……ごめんなさい! 私、気がついたらここにいて……!」
🌸は慌てて釈明しようとした。
だが、少年の視線は彼女の手に握られた「刀」に固定される。
「校内に危険物の持ち込み。そして、僕の昼寝の邪魔……君、重罪だよ」
「えっ、ちょっ、待っ――」
説明する暇もなかった。
少年が地を蹴る。
その踏み込みの鋭さに、🌸の脳裏に不死川の怒号が響く――
『止まってんじゃねェ、ガキがァ!』
ーーガキィィィィィィィン!!
咄嗟に構えた日輪刀が、少年の振るった銀色のトンファーと激突した。
凄まじい衝撃が🌸の腕を伝う。