第9章 王子と姫の愛の逃避行♡ 【ONE PIECE サンジ】
「……昨日の宴の時、ルフィに聞かれたの。『お前の夢は何だ?』って」
🌸が、海を見つめたままぽつりと呟いた。
サンジは静かに耳を傾ける。
「私、すぐに答えられなかった。……ずっとお城の中で、お父様の言う通りに、決められたレールの上だけを歩いてきたから。自分が何をしたいのか、何になりたいのか……そんなこと、考えたこともなかったの」
彼女の手が、手すりをぎゅっと握りしめる。
「でもね、この船のみんなを見ていて思った。ルフィも、ナミも、あなたも……みんな、遠くにある輝くような夢を持っていて、そのために命を懸けてる。それが、すごく眩しくて……」
🌸はサンジの方を向き、少し照れくさそうに、けれど力強い瞳で微笑んだ。
「だから、私の今の『夢』はね、世界を見て回ること。この広い世界を自分の目で見て、たくさん経験して……いつかみんなみたいに、心の底から追いかけたいって思える『本当の夢』を見つけたいの。……変かな?」
サンジは一瞬、眩しいものを見るように目を細めると、愛おしさを込めて優しく首を振った。
「変なわけねェだろ。……最高に素敵な夢だ」
サンジは誓いを立てる騎士のように、穏やかな声で続けた。
「何がしたいか、どこへ行きたいか。それを探すために海へ出る。……それはもう、立派な『自由』への第一歩だ。俺たちが、全力で応援してやるよ」
「……ありがとう、サンジ」
「🌸ちゃん。夢を探す旅の途中で、もし腹が減ったり、辛いことがあったら、いつでも俺を呼びな。世界中のどこにいたって、最高の料理を作って駆けつけてやるからよ」
その言葉に、🌸の瞳に溜まっていた小さな不安が、朝露のように消えていった。
「ふふ、心強い。あなたの料理は、世界一だものね」
東の空から、ついに太陽が顔を出した。
真っ赤な陽光が海面を走り、二人の姿を黄金色に染め上げていく。
新しい一日。
そして、🌸が自分の足で歩み始めた、新しい人生の夜明け。
サニー号は帆に朝風をいっぱいに受け、彼女の「夢」を探すための大海原へと、力強く進み始めたのだった。