第9章 王子と姫の愛の逃避行♡ 【ONE PIECE サンジ】
窓から差し込む光が、純白のシルクに反射して部屋全体を神聖な輝きで満たしていた。
「……綺麗よ、🌸。この国で一番、いいえ、世界で一番美しい花嫁だわ」
すぐ上の姉が、慈しむようにマリアベールを整えてくれる。
その瞳の奥に、悪戯な光が宿っているのを🌸は見逃さなかった。
「お姉様……本当に大丈夫なの? 私、何が起きるのか何も聞いてなくて……」
「いいのよ。主役はただ、胸を張って笑っていれば。……さあ、最後にお別れのハグをしましょう」
姉たちが一人ずつ、代わる代わる🌸を強く抱きしめる。
「いい? 自分の心に嘘だけはつかないで」
「どんなに怖い音がしても、前だけを見ていなさい」
耳元で囁かれる言葉は、どれも別れの挨拶というよりは、戦地へ送り出す激励のように聞こえた。
やがて成人の儀が終わり、そのまま大国の王との婚礼の儀へと移る。
重厚な扉が開くと、そこには贅を尽くした大聖堂と、最前列で下卑た笑みを浮かべるエロジジイが待っていた。
(……怖い。でも、信じなきゃ。みんなを信じていいのよね?)
🌸は震える足を叱咤し、長いバージンロードを歩む。
周囲の貴族たちの視線が刺さる中、ようやく祭壇の前へと辿り着いた。
目の前には、黒い法衣に身を包み、深くフードを被った神父が聖書を手に立っている。
「……では、誓いの儀を執り行う」
神父が口を開きその声を聞いた瞬間、🌸の心臓が跳ねた。
(えっ……?)
厳かな儀式にふさわしい、低く落ち着いた声。
けれど、その奥に潜む「響き」に、彼女は強烈な既和感を覚える。
何より、神父の指先――。聖書を持つその手から、微かに漂ってくるのは、
「……タバコの……匂い?」
思わず呟きかけた🌸に神父は顔を伏せたまま、誰にも聞こえないほどの小さな声で囁いた。
「――お待たせしました、🌸ちゃん。今日の主役は、泣き出しそうな顔より笑顔の方が似合ってるぜ?」
その瞬間、🌸の瞳が大きく見開かれた。
「……っ、サンジさん!?」
「シーッ。最高のサプライズには、まだ続きがあるんだ」
神父がニヤリと口角を上げたその時、城の内外で凄まじい轟音が響き渡った。