第2章 トリュフと秘密の寄り道 【ハイキュー!! 北信介】
「………んっ」
触れるだけの、けれど深い慈しみが込められたキス。
鼻をくすぐる、甘く芳醇なカカオの香り。
北が口にしたトリュフの残香が、微かな苦みと共に🌸の口内へ溶け込んでいく。
「……っ」
🌸の背中に、もう片方の手が回される。
引き寄せられた体温は、冬の公園にいることを忘れさせるほどに熱かった。
ゆっくりと唇が離れると、北は愛おしそうに目を細めた。
「……ほんまに。これ以上ないくらい、甘いな」
「……北、くん……」
「ファーストキスの味、一生忘れられへんわ。……チョコの味と、お前の味や」
そう言って、北は照れ隠しに俯いた🌸を、今度は壊れ物を抱くように優しく抱きしめた。
耳元で聞こえる彼の鼓動は、いつもの規則正しいリズムを少しだけ外れて、激しく打っている。
完璧で、理性的で、正解を選び続けてきた北。
そんな彼が、今、自分との恋に「正解」を見出した瞬間だった。
「……ホワイトデー、期待しとって。お返しは、🌸がびっくりするくらいの『特別』を用意するから」
静かな公園。
二人の間には、チョコレートよりもずっと甘く、溶けることのない想いが満ちていた。
公園を出た二人の手は、どちらからともなく重なり、コートのポケットの中で静かにつながれていた。
指先から伝わる体温が、冬の夜風を忘れさせるほどに心地いい。
「……北くん、みんなにバレたら騒がれるかな」
「別に隠すようなこともしとらんしな。……ただ、アイツらは騒がしいやろうな」
北は少し困ったように笑いながらも、繋いだ手にそっと力を込めた。
翌日、三年生の教室があるフロアは、受験を終えた安堵感と卒業を控えた少しの寂しさが混じり合い、いつもより穏やかな空気が流れていた。
そこへ嵐がやってくる。
「治! 今日こそはっきりさせんぞ! 昨日の北さんと🌸さん、絶対なんかあったって!」
「うるさいわツム。俺かて気になっとるけど、北さんに直接聞く勇気はないわ……あ」
騒がしく階段を駆け上がってきた宮侑と治が、踊り場のベンチで足を止めた。
そこには、並んでお弁当を広げる北と🌸の姿があった。
「……あ」
「あ……」