第2章 トリュフと秘密の寄り道 【ハイキュー!! 北信介】
双子の視線が、一点に釘付けになる。
二人の距離が、昨日までとは明らかに違う。
肩が密着しているのはもちろん、🌸が自分の卵焼きを箸で持ち上げ、北の口元へ運んでいた。
「北くん、これ上手く焼けたんよ。食べて?」
「……ん。おおきに。……ほんまや、出汁が利いてて美味いな」
北が柔らかく目を細めて咀嚼する。
その直後、彼は自然な動作で🌸の空いた左手をとり、指先を絡めて自分の膝の上に置いた。
「「…………ッ!!!」」
双子の口から、音にならない悲鳴が漏れる。
「きた、きたきた北さん!! な、なんですかその指の絡め方はッ!!」
「……侑、治。お前ら、お昼休みに上の階まで何しに来たんや」
北は動じることなく、繋いだ手も解かずに淡々と問いかける。
逆に🌸の方が「ひゃっ」と声を上げて真っ赤になり、北の背中に隠れるように俯いた。
「何しにって、昨日からのモヤモヤを……! 北さん、まさか、ほんまに……!」
「ああ。……俺の、大事な彼女や」
迷いのない、凛とした宣言。
昨日、自分たちが冗談混じりに「本命は誰か」と騒いでいた相手が、今は目の前で、自分たちが一番恐れ、尊敬する主将の腕の中に収まっている。
「……終わった。俺の青春、今、完全に幕を閉じたわ……」
「北さん相手に勝てるわけないやんけ……。正味、お似合いすぎて腹も立たへん……」
がっくりと項垂れ、その場に崩れ落ちる双子。
「ちょっと二人とも、大げさやなぁ。……ごめんね、びっくりさせて」
🌸が申し訳なさそうに笑うと、北はその頭を愛おしそうに撫でた。
「……侑、治。お前らも、早く飯食うて練習備えろ。これからは、🌸は俺の特別やからな、覚えとけよ」
「……公認か……勝てへん……」
「完敗や……」
フラフラと立ち上がり、逃げるように去っていく後輩たちの背中を見送りながら、北は再び🌸の手を握り直した。
「……北くん、あんなにはっきり言わんでも」
「ええんよ。……隠すんも、お前を誰かに狙われるんも、嫌やからな」
春の光が差し込む廊下。
二人のランチタイムは、昨日食べたチョコレートよりも、ずっと甘い空気に包まれていたーー。