第9章 王子と姫の愛の逃避行♡ 【ONE PIECE サンジ】
「男がよ……大勢で寄ってたかって、一人のレディに剣を向ける。その『クソなマナー』……俺が叩き直してやるよ」
「ぬかせっ!」
先頭の兵士が斬りかかるが、サンジの姿が消えた。
サンジから繰り出される超高速の回転蹴りが、追手たちの顎やこめかみを正確に捉えていく。
少女を抱えているハンデなど微塵も感じさせない鮮やかな蹴り技。
一人、また一人と、兵士たちが白目を剥いて地面に沈んでいく。
「な、なんだこの強さは……!?」
「邪魔だ、どけ!……船まで急ぐぞ」
サンジは残りの追手を一瞥すると、少女の腰を抱き直し、建物の屋根へと高く跳躍した。
背後で上がる怒号を風に流し、彼はサウザンド・サニー号が待つ海岸へとひた走る。
腕の中の少女は、自分を守る男の横顔を、ただ呆然と見つめていた。
サウザンド・サニー号の甲板では、買い出しから戻ったナミとウソップ、そして読書に興じていたロビンが騒がしく帰還したコックの姿に目を剥いた。
「ただいま戻りました、ナミさーん♡ロビンちゃーん♡」
「おかえりサンジくん……って、ちょっと待ちなさい! その腕に抱えてる女の子は誰よ!?」
ナミの鋭いツッコミが飛ぶ。
サンジの腕の中には、深々とローブのフードを被った小柄な少女が、心細そうに身を縮めていた。
「お、おいサンジ……! お前、ついに一線を越えたんじゃねェだろうな!? 誘拐は重罪だぞ!」
ウソップが鼻を震わせながら、詰め寄る。
「失礼なこと言うな! このレディは街で悪党どもに追われてたんだ。騎士(ナイト)として放っておけるわけねェだろ!」
サンジが優しく少女をデッキに下ろすと、彼女は震える声で口を開いた。
「あの……怒らないでください。この方は、私を助けてくださったんです。絶体絶命のところを、匿って……ここまで連れてきてくれました」
「……助けた?」
ナミがジロリとサンジを見ると、サンジは誇らしげに胸を張った。
「そうです、ナミさん! 街の野郎どもがよってたかって、この可憐なレディを捕まえようとしてたんだ。俺の足技で追い払ってやったのさ」
「ふーん……まあ、アンタが女の子を放っておけないのはいつものことだけど……で、なんでそんなに追われてたわけ? 訳ありでしょ」