第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
並盛の夜は先ほどの騒乱が嘘のように静まり返っていた。
沢田家ではディーノは座り込み、力なく笑った。
隣には心配そうに顔を覗き込むツナと、相変わらず不遜な態度で銃の手入れをするリボーンがいる。
「……結局、あいつを泣かせちまった。俺がマフィアだって知った時の、あの怯えた目……。やっぱり、俺じゃダメだったんだ」
「ディーノさん……」
ツナはかける言葉が見つからなかった。
イタリアから飛んできて、あんなに嬉しそうにバレンタインの話をしていたディーノを知っているからこそ、その項垂れた背中が痛々しい。
「相変わらずへなちょこだな、ディーノ」
リボーンが冷たく言い放つ。
だが、その瞳にはわずかな慈悲が混じっていた。
「ああ、まったくだ。ボス失格だよ。……でもさ、あいつには普通の幸せを掴んでほしいんだ。俺みたいな血生臭い世界に住む男じゃなくて、もっと穏やかな、平和な世界でさ」
自嘲気味に笑うディーノの横顔は寂しげで、見ていられなかった。
その頃、🌸は自室で、手渡されたネックレスを見つめていた。
サファイアの輝きが涙で歪んで見える。
あんなに怖かったはずなのに胸にあるのはぽっかりと空いた大きな穴だった。
その時、窓枠を叩く小さな音がした。
「……こんばんは、お嬢さん。少し話をしないか」
現れたのは、黒いスーツに身を包んだリボーンだった。
「リボーンくん……どうして……」
「野暮用だよ。あいつが、あまりに情けない顔で泣き言を言ってるもんでな」
リボーンは窓際に腰掛け、鋭い眼差しを🌸に向けた。
「あいつの正体がマフィアだって聞いて、逃げ出したくなったか? ……無理もねぇ。ツナだって、毎日逃げ回ってる。俺たちの住む世界は、お前のような普通の人間からすれば地獄に等しい」
リボーンは一息つくと、意外なほど柔らかな声で続けた。
「だがな、あいつはお前をマフィアの女にしようとしたんじゃない。ただの『ディーノ』として、お前に恋をしていただけだ。……そのネックレスを見てみろ。あいつがどれだけお前の事を考えてそれを選んだか」
「……私の、事?」