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*夢物語* 【夢小説短編集】

第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】


「……これが、俺の住む世界の現実なんだ」

「…………っ、」



🌸は、彼の言葉に胸を突かれながらも、先ほどの光景と殺気を放つディーノの姿が頭から離れない。
震える瞳が、どうしても戸惑いを隠せずにいた。
その怯えを敏感に感じ取ったディーノは、心臓を握りつぶされるような痛みを堪え、覚悟を決めたように目を伏せそっと指を離した。


「……ごめん。もう、君を危険な目に合わせるわけにはいかない。俺みたいな男が、君の隣にいてはいけなかったんだ」


彼はそれ以上何も言わせないように、「送っていくよ」と短く告げた。
再びスクーデリアに乗り、夜の街を滑るように翔けていく。
さっきまであんなに温かかった彼の体温が、今はひどく遠く、鉄の壁のように冷たく感じられた。





🌸の自宅近くの路地裏に降り立つと、ディーノはポケットから小さな、けれど気品のある青い箱を取り出した。


「これ……バレンタインのプレゼント」


渡された箱を開けると、そこには夜空の星を閉じ込めたような、繊細に輝くブルーサファイアのネックレスが収まっていた。


「っ、ディーノさん、こんな高価なもの……受け取れません」

「……いいんだ。受け取ってほしい。もし、俺のことを思い出すのが辛かったら、売ってしまっても構わない。君のこれからの生活の足しにしてくれれば、それでいいから」

「そんな……っ」


「今まで、本当に楽しかった。……普通の男として君と過ごせた時間は、俺の人生で最高の宝物だ。ありがとう、🌸」


彼は最後にもう一度だけ、泣き出しそうなほど優しい笑顔を見せた。
その瞳に宿っていた「愛」が、スッと「ボスの仮面」に切り替わる。



「……さよなら」



踵を返し、闇の中へと消えていく背中。
🌸の手の中には渡せなかったバレンタインのチョコと、冷たい輝きを放つネックレスだけが残された。



降り始めた雪が、二人の歩んできた短い季節を白く塗り潰していく。
追いかけたいのか、逃げ出したいのか。
自分の本当の気持ちさえ分からないまま、🌸は遠ざかる足音をいつまでも聞き続けていたーー。


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