第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
「頼む、やめてくれ! その子には関係ないはずだ……!」
「関係ねぇだと? こいつはてめぇの弱点そのものじゃねぇか!」
男が嘲笑い、🌸の細い喉にさらに深く刃を食い込ませる。
恐怖で涙を流す彼女の足元、砕けたガラスの破片に混じって、先ほどまで大切に抱えていたカバンが無惨に転がっていた。
「ディーノ……さん……っ」
怯えて震える🌸にディーノの理性が弾けた。
だが、迂闊に動けば彼女の命はない。
「ロマーリオ……手を出すな」
ディーノは短く命じると、震える手で持っていた鞭を、床へとゆっくり落とした。
「武器は捨てた。……だから、その子を放せ。代わりなら、俺がいくらでもなってやる」
「ボス!? 何をっ、」
ロマーリオの制止も耳に入らない。
ディーノは両手を上げ無防備な姿で一歩、また一歩と、吹き荒れる風と狂気が渦巻く窓際へと歩み寄る。
「……いいぜ、来いよ。跳ね馬の首、ここで獲ってやる!」
男が勝ち誇り、ナイフの先をわずかに浮かせた刹那。
ディーノの瞳が鋭く光り、地面を蹴った。
目にも止まらぬ速さで間合いを詰め、男の腕を掴んで捻り上げる。
「がぁっ!?」
だが、男もまた死に物狂いで制圧される寸前、男は自らの身体を投げ出すようにして、羽交締めにしていた🌸を、砕け散った窓の外へ——夜の闇へと力任せに突き飛ばした。
「🌸!!」
絶叫が響く。
数百メートルの高さから、彼女の身体が冬の夜空へと放り出された。
「ボス、ダメだ!!」
ロマーリオが叫び、必死に手を伸ばす。
しかし、ディーノの身体はすでに窓の縁を蹴っていた。
躊躇など一瞬たりともなかった。
彼は迷わず、彼女を追って極寒の虚空へと身を投げた。