第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
ツナの素朴な言葉に、ディーノは一瞬だけ動きを止めた。
それから、赤くなった顔を隠すように、黄金色の髪を乱暴にかき回した。
「……ああ。最初に出会った時の、あの優しい微笑みを守りたいって思ったのが始まりだったけど……今はもう、あいつが隣で笑ってくれるだけで、どんな宝物より価値があるって思えるんだ」
その声には、一人の男としての深い情熱が籠もっていた。
「……ごちそうさま。次は盛大に惚気話を聞かされることになりそうだな」
リボーンは面白そうに帽子を深く被り直した。
窓の外では、明日を祝うかのように静かな雪が降り始めている。
「絶対に、幸せにしてやるんだ。明日は……俺にとっても、人生で一番のバレンタインにする」
熱く決意を語るディーノを見ながら、ツナは「頑張ってくださいね」と心の中でエールを送るのだった。
大学の講義が終わると、🌸は足早にスーパーへと向かった。
手に取ったのはいつもより少し贅沢な製菓用のチョコレートと、鮮やかなリボン。
(ディーノさん、甘いものは好きかな……。イタリアの人だから、味には厳しいかも……)
キッチンに立ち、ボウルの中でゆっくりと溶けていくチョコを見つめながら、🌸は先日の電話を思い出しては頬を熱くした。
「俺が、君に会いたいから行くんだ」
そう断言してくれた彼の真っ直ぐな声。
借金の恩返しなんかじゃない。
今、このチョコに込めているのは、彼を一人の男性として慕う、ひたむきな恋心だ。
丁寧に型に流し込み固まるのを待つ時間は、もどかしくて、けれど不思議と温かい。
慣れない手つきでラッピングを施しながら、🌸は窓の外を見上げた。
「……喜んでくれるといいな」
明日、この小さな箱を渡す瞬間を想像するだけで、胸の鼓動は早まるばかりだったーー。