第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
一方、イタリアでは電話を切ったディーノはしばらくの間、手の中の端末を見つめてニヤニヤと笑っていた。
「……ボス、顔が緩んでるぜ」
「ロマーリオ、聞いたか? 彼女の方から誘ってくれたんだ!これは……これはもう、ただの『借金の恩返し』じゃないよな?」
「ええ。お嬢さんも、ようやく自覚されたんじゃないですか。ボスのへなちょこぶりを見ても、まだ会いたいと言ってくれるんですから、相当なものですよ」
「へなちょこは余計だ! ……でも、そうか。脈あり、だよな」
ディーノは拳を握り、黄金色の瞳を輝かせた。
これまで数々の修羅場をくぐり抜けてきた男だが、バレンタインという戦場にこれほどまでに高揚したのは初めてのことだった。
「よし! 当日は完璧に決めていくぞ。……最高のバレンタインにしてやるんだ」
勝機を確信したディーノの心は、すでに日本の冬空の下、愛しい彼女の元へと飛び立っていた。
バレンタインを翌日に控えたディーノは、並盛の沢田家に到着するなり、ツナの部屋で幸せそうに話した。
「聞いてくれよ、ツナ! 明日のバレンタイン、🌸から誘ってくれたんだ!」
「わ、わかりましたから、ディーノさん落ち着いてください!」
その顔はこれ以上ないほどにだらしなく緩んでいる。
「いや、だってさ……あんなに遠慮がちだった子が、自分から『会えませんか』だぜ? これはもう、あれだろ。期待しちゃっていいんだよな!?」
「まあ、そうですね。わざわざその日に誘うってことは、そういうことだと思いますけど……」
苦笑いするツナにディーノは顔を赤くしながらも、真剣な瞳で頷いた。
「よかったですね、ディーノさん。あんなに必死に探して、デートのたびに一喜一憂して……ようやく、ですね」
「ああ……。俺、明日は絶対に失敗したくないんだ!」
「必死だな、ディーノ」
窓際でレオンを指に乗せていたリボーンが、不敵な笑みを浮かべて口を挟んだ。
「だが、相手は普通の女子大生だ。お前のマフィア的な『完璧』が、かえって裏目に出るかもしれねぇぞ?」
「なっ、なんだよリボーン! 縁起でもないこと言うなよ!」
「はは……。まあ、ディーノさんが一生懸命なのは🌸さんにも伝わってると思いますよ。……でも、本当に好きなんですね」