第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
映画が終わると、並木道沿いにあるお洒落なカフェレストランへと足を運んだ。
「せめて、自分の分くらいは払わせてください。……返済中なんですから」
食事が終わる頃、🌸が財布を取り出そうとすると、ディーノはそれを優しい手つきで制した。
「ダメだよ。今日はデートなんだから。エスコートは俺に任せて」
彼は洗練された身のこなしで、いつの間にか支払いを済ませていた。
あんなにドジばかり踏んでいた「へなちょこ」な彼が、こういう時だけは驚くほどスマートで隙がない。
「……また、出してもらっちゃいました。これじゃ返済どころか、どんどん借りが増えてる気がします」
「いいんだよ。君が楽しそうに笑ってくれるだけで、俺の投資は十分回収できてるんだ」
カフェを出て夜の風に当たりながら二人は歩くと、ディーノはそっと🌸が歩きやすいように車道側へ回った。
その自然な気遣いに胸が高鳴るのを隠せなかった。
昨夜、自分を助けてくれた時の鋭い「強さ」
お茶をこぼして慌てていた「可愛らしさ」
そして今、隣で優しく微笑んでいる「大人の余裕」
あまりのギャップに、🌸は自分の頬が熱くなるのを感じていた。
「……ディーノさん。あの、そんなに見つめられると、困ります」
「ごめん。……君が、そんなふうに年相応の格好で笑ってるのが嬉しくてさ。やっぱり、こっちの方がずっと似合ってる」
真っ直ぐな言葉を投げかけられ、🌸は視線を泳がせた。
借金のカタに身を捧げようとした自分を、彼はこうして「一人の女の子」として大切に扱ってくれる。
その優しさが借金の重みよりもずっと深く、彼女の心に刻まれていく。
「……次回のデート、いつにしますか?」
🌸が俯きながら小さく尋ねると、ディーノは少し驚いたあと、世界で一番幸せそうに目を細めた。
「明日にでも、って言いたいところだけど……。君の予定が空いてる時でいい。俺はいつでも、君を待ってるから」
かつて絶望の中にいた🌸の隣には、不器用で完璧な優しい男が寄り添っていたーー。