• テキストサイズ

*夢物語* 【夢小説短編集】

第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】


「はい。最初は借金取りの人たちに…風俗とか、そういう店に行けって言われて。でも、必死でお願いして、ここなら稼げるからって何とか回避して。今は大学の合間に、ここで働いて返してるんです。……笑っちゃいますよね。普通の大学生のふりして、夜はこんな格好してるなんて」


自嘲気味に笑う🌸の横顔を見て、ディーノは胸が締め付けられるような痛みを覚えた。
あの雨の日、自分を助けてくれたあの清らかな微笑みの裏側に、これほどまでに過酷な現実があったなんて。


「笑うわけないだろ。……君は、たった一人でそんなものを背負って戦ってたのか」


「返しても、利子だけで精一杯で……。でも、こうするしかないんです。あのタオルも傘も、本当は私の予備じゃなくて、いつ雨が降ってもいいように、その……誰かに親切にすれば、少しだけ自分の心が救われる気がして、持ち歩いてたんです」


「🌸……」


「ディーノさんに優しくしたのは、自分のためでもあったんです。だから、あんなに良いお礼をいただく資格なんて本当はなくて……」


涙を堪え震える声で告白する彼女の肩を、ディーノは迷わず抱き寄せた。


「……もういい。もう十分頑張ったよ。俺が来たからには、そんな奴らに指一本触れさせない」


「でも、借金は……。私の問題ですから、これ以上あなたに迷惑をかけるわけには……」


「迷惑なもんか。……いいかい、よく聞いて」


ディーノは彼女の震える両肩を優しく掴むと、真っ直ぐにその瞳を見つめた。


「俺は、こう見えても大きな会社の経営に関わっているんだ。金で解決できることなら力になりたい。………それに、君をこんな場所に置いておけるほど、俺は物分かりの良い男じゃない」

「……ディーノさん……」


「君が俺にくれたタオルと傘は、俺にとっては金額じゃ測れない価値がある。だからこれは、その『お返し』なんだ。君がまた、心から笑って大学に通えるようにしたい。……俺に、その手伝いをさせてくれないか?」


ディーノの包み込むような温かい言葉に、🌸は張り詰めていた心の糸が切れたように彼の胸泣き始めた。


その涙を、ディーノは大きな手で優しく、何度も拭ってやるのだった。





/ 212ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp