第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
静まり返った店内で、ディーノはゆっくりと振り返った。
そこには、ドレスの裾を握りしめて涙を堪える🌸の姿があった。
「……怖かったろ」
ディーノは自分の上着を脱ぐと、露出した彼女の肩を包み込むように優しくかけた。
その手つきは、あの雨の日に彼女が自分の手を拭いてくれた時と同じくらい、慈愛に満ちていた。
「待って下さい!彼女を連れて行くなら、それなりの筋を通してもらわないと」
🌸を連れて店を出ようとしたディーノの前に、黒服のスタッフたちが冷ややかに立ちはだかった。
いくら無礼を働いた男を追い出したとはいえ、店側にすれば太客を失ったのも事実。
それに、🌸はまだ勤務時間の真っ最中だった。
「……あ、あの、ディーノさん。私はもう、大丈夫ですから……」
「大丈夫なわけないだろ。……分かった、VIPルームを貸し切りにしろ。今夜の彼女の時間は、俺が全部買い占める」
ディーノの鋭い視線に気圧されたスタッフは、それ以上何も言えずに二人を奥の個室へと案内した。
重厚な扉が閉まり、外界の喧騒が遮断されたVIPルーム。
ふかふかのソファに腰掛けたものの、🌸はディーノから借りた上着の裾を握りしめ俯いたままだった。
「……ディーノさん、さっきはありがとうございました。でも、あんなに派手にしちゃって、大丈夫だったんですか?」
「俺のことはいい。それより、話してくれないか。……どうして、君がこんな場所で働いてるのか。金が必要って、さっきの男が言ってたのは本当か?」
ディーノの真剣な眼差しから逃げられないと悟ったのか、🌸は小さく吐息をつき、ぽつりぽつりと話し始めた。
「……少し前に、親が借金を残して蒸発したんです。私、よく分からないまま、その保証人になっちゃってて」
「親が……? それで、その借金を君が?」